共創社会のハブに進化 埼玉りそな銀の福岡聡社長 インタビュー
埼玉りそな銀行の福岡聡社長が産経新聞のインタビューに応じ、経営方針について「共創社会のハブに進化していく」と語った。また、金利上昇などを念頭に「新しい環境に適合しないといけない」と述べ、変化への対応が急務との認識を示した。主な一問一答は次の通り。 ■支店を地域の共創空間に --追加利上げ観測など事業環境が変化してきた 「金利一つ見ても明らかに世の中の構造が変わる。新しい環境に適合していかないといけない。生産性や付加価値を上げないと、インフレ下では価値の持続ができない」 「顧客への伴走支援のため経営改善チームを置いたり、昨年には『くらしコンシェルジュ』を配置した。顧客の身近なところで常に一緒に考える体制で、顧客が変化に適合し進化を遂げる。ひいては我々も共に発展ができる道だ」 --りそなコエドテラス開業や西川口支店リニューアルなど店舗の在り方にも変化がみられる 「従来の概念でなく、地域の共創空間にしていきたい。銀行はそういう機会をもっと提供していくべきで、コエドテラスはインキュベーション施設や顧客が実証実験ができる場など社会のために使いたい」 「西川口支店も共創空間というコンセプトで改修する。地域金融はそもそもまず地域が元気でなければならない。そのため、企業市民として我々の店舗をもっと使っていく。デジタル化も進めていくが、いかに共感を作り出せるか。リアルで対面の空間スペース、そういうものを目指す」 ■銀行を顧客本位に変える --顧客の困りごとに対応する「くらしコンシェルジュ」は全有人拠点に配置した。成果は出ているか 「銀行では融資や預金など窓口を分けているが、これは銀行の都合だ。顧客本位に変えていきたい。コンシェルジュで受ければ顧客は窓口の移動など無駄足がなくなる。課題解決の道筋は短くなった。4月の相談件数は807件だった」 --埼玉りそな銀行との関わりが深い渋沢栄一の肖像画の新一万円札が7月3日に発行される。 「(公益と利益の両立を目指す企業理念の)『道徳経済合一』という気持ちを、我々自身もう1回強く持っていく。道徳と経済が共にあるから持続性が上がり、共感が強く生まれる」
「新紙幣発行のこのタイミングで社会起点、お客様起点で地元のために働く。価値の良い流れを作り出せるような、共創社会のハブに進化していく。このメッセージを強く発信していきたい」(聞き手 柳原一哉)