その日は必ずやってくる…『ONE PIECE』終了後の少年ジャンプに残された「3つの選択肢」
● 『ONE PIECE』が終了後、経営側の選択肢は3つある ただこの話、そう簡単ではない問題をもうひとつはらんでいます。 漫画家を目指す少年少女にとっては少年ジャンプで連載を持つことは、野球少年がプロ野球を目指したり、サッカー少年がJリーグを目指すことと同じように重要なのです。 「いずれジャンプに連載を持って、尾田先生の次のページに自分の作品が並ぶ日が来ることが自分の将来の夢だ」 そう考えている少年少女は少なくないのです。 その目指す場所がなくなってしまうのは、才能の発掘の視点で見ると大問題です。 とはいえ、イノベーションで誕生した『少年ジャンプ+』にも少年少女が目指す新たな場所があります。 『少年ジャンプ+』は基本は週1連載で、各曜日にその曜日の連載陣の頂点というべきランキングナンバー1の地位があります。場所は合計で7つですから『少年ジャンプ+』の連載陣にとっては各曜日のトップになるのは神セブンのような地位にあたります。 客観的な経済効果で測れば、この神セブンの作品は本誌連載の四番手以降の作品よりも地位が上なのは確かなので、いずれ目指す場所が変わる可能性があります。 少なくとも尾田先生がいなくなった後の『少年ジャンプ』(次回作がない場合を想定しています)を考えると、『週刊少年ジャンプ』と『少年ジャンプ+』の地位交代はもうすぐ訪れるでしょう。 では2026年末、『ONE PIECE』が終了を迎えたときに少年ジャンプはどうすべきでしょうか? (編集部レベルではなく)経営レベルでは論理的には3つの選択が考えられます。 (1)現状のまま頑張らせる。最悪の場合は長期衰退でも構わないと割り切る。 (2)祖業である『少年ジャンプ』本誌を優先して再建する。 具体的には無料の『少年ジャンプ+』の人気連載をつぎつぎと有料版の『週刊少年ジャンプ』連載に切り替える。そうすれば週3本のハードルを常に超えられて雑誌は永続できる(かつてイトーヨーカドー救済のためにセブンイレブンと経営統合させたセブン&アイ型の経営判断がこれです)。 (3)紙からの卒業を宣言して『少年ジャンプブランド』を維持強化する(リクルート型経営判断がこれです)。 個人的な期待としては、安室奈美恵のように絶頂期で休刊する雑誌があった方が伝説が生まれるのではないかと私は考えます。 「週刊少年ジャンプの冒険は『ONE PIECE』の連載終了と同時に終わるからね~」 とか宣言したらかっこいいじゃないですか。 その決断は2年後でしょうか? 『ONE PIECE』の連載がもっと先に伸びることも個人的には期待していますが。
鈴木貴博