エイズとデルタのメモワール(回顧録)~パームスプリングス(後編)【「新型コロナウイルス学者」の平凡な日常】
■友人たちとの再会 エイズウイルスの研究からG2P-Japanを一緒に立ち上げた面々と一緒に、アメリカで開催されたエイズウイルスに関する研究集会に4年ぶりに参加する。カラッと晴れたカリフォルニアの空の下でビールを飲んでいたら、ふとそんな、2年前の夏のことが思い出されたりもした。 パームスプリングスで開催されたその研究集会には、コールドスプリングハーバーの研究集会にも参加していた、懐かしい顔が揃っていた。たとえば、現在はアメリカ・NIH(国立衛生研究所)で研究室を主宰しているアレックス・コンプトン(Alex Compton。ちなみに、13話のトップ画像に映っているのが彼です)。 東海岸と西海岸で雰囲気も違うけれど、アメリカという地で、4年ぶりの面々と交流する。懐かしいエイズウイルス研究の空気を吸って、懐かしい面々といろいろな話をして、少し感傷的な気持ちになったりもした。 もちろん研究集会であるので、エイズウイルスに関する研究発表もひさしぶりに聴いた。演者のスライドと、手元のMacBook Airの画面を交互に見ながら講演を聴く。 しかしここのところ老眼が進んでしまい、薄暗い講堂では、壇上の発表スライドと手元のパソコンの画面を交互に見る際に、どうしてもピントが合わなくなる。老眼鏡を鼻にかけて講演を聴きながら、4年前にはこんなことはなかったなあ......などと、やはりすこし感傷的な気持ちになったりもした。 文・写真/佐藤佳