口から食べられなくなったら、おしまい? リハビリ期から終末期までの「ベストなケア」とは
「食事中によくむせる」「食べこぼしが多い」などの症状が、ご自身あるいはご家族に起きている人はいませんか? 「食べる力」は、年齢とともに衰えてきます。自覚がある場合、もしかすると嚥下障害を起こしているのかもしれません。 【画像】死刑囚が「アイマスク」をするヤバすぎる理由 嚥下障害(摂食嚥下障害)とは、口からうまく食べられない状態をいいます。嚥下機能の低下は、窒息を起こしやすくするだけでなく、誤嚥性肺炎という、高齢者にもっとも多いタイプの肺炎を招く原因にもなってしまいます。肺炎は日本人の主な死因のひとつで、高齢者にとっては、まさに命にかかわる重大な病気です。 そこで、全8回にわたり、食べる力の維持や嚥下機能の回復を目指すためのヒントをQ&A形式でご紹介します。早めに対処して、食べる喜びを末永く味わっていけるよう、正しい知識を身につけていきましょう。今回は、さまざまな手段を講じても口から十分に食べられなくなったときの対処法についてご紹介します。 嚥下障害 第8回
Q 口から十分に食べられないとき、栄養補給の方法は?
口から食べたい、食べさせたいという思いはあっても、嚥下障害の程度や全身状態によっては、それがむずかしくなることもあります。食べられないことによる低栄養・脱水を避けるには、別のルートから栄養補給する補助栄養が必要です。 食物を食べられない、食べられる量がわずかで栄養不足が心配されるときの補助栄養法は、大きく2つのタイプに分けられます。食道や胃、腸などの消化管に入れた管(チューブ)を介して流動食や栄養剤を補給する経腸栄養(経管栄養)と、血液中に直接、栄養素や水分を入れる経静脈栄養の2つです。 急性期には経静脈栄養が用いられることも多いのですが、胃や腸など、消化管を使わない状態が長く続くと消化機能が衰えてしまいます。消化管の働きが保たれているのであれば、可能なかぎり経腸栄養が好ましいとされています。 ● 経腸栄養(経管栄養) 経腸栄養には、口から栄養剤をとる方法(経口栄養)と、消化管に管を入れて栄養剤を流し込む方法(経管栄養)があります。嚥下障害が進んだ場合、口からの摂取がむずかしいため、経管栄養の実施が検討されます。おなかの皮膚と胃に孔をあけ、短いチューブを入れておき、栄養剤を胃に直接流し込む胃ろうも、経管栄養の一種です。 ● 経静脈栄養 消化機能がいちじるしく低下している場合には、血液中に水分や栄養素を入れます。