「不調がないから大丈夫」ではない…!?自覚症状がないまま進行する危険な「がん」とは
自覚症状が出にくい「胃がん」。現在はとくに胃に不調はないという方も、注意が必要です。 【画像】「不調がないから大丈夫」ではない…!?自覚症状がないまま進行する危険な「がん」とは 「胃がん」の原因やなりやすい人の特徴、予防と早期発見のために大切なことなどを、四谷内科・内視鏡クリニック院長の高木謙太郎氏に聞きました。
Q.胃がんとはどのようながんですか
胃がんの90%以上は、胃壁の最も内側の粘膜上皮細胞から発生する「腺がん」です。さらに腺がんは、増殖の仕方の違いから「分化型胃がん」と「未分化型胃がん」に分けられます。 「分化型胃がん」は、がん細胞が腺管構造をつくりながらまとまって増殖するタイプの胃がんです。「未分化型胃がん」はパラパラと広がるように増殖するタイプであり、分化型胃がんに比べて悪性度が高いとされています。 未分化型には、増殖のスピードが速いことで知られる「スキルス胃がん」も含まれます。
Q.胃がんの原因にはどのようなものがありますか
ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)への感染が、胃がんの一番の原因です。 ピロリ菌は経口感染が主な感染経路だと考えられています。胃酸分泌が十分でない幼少期までに感染することが多く、ピロリ菌に感染している親から、食事などを介して子どもへ移る可能性があります。また、上下水道設備などの衛生環境が整っていない国や地域では感染率が高いともされています。 そのほか、塩分の過剰摂取、喫煙や過度のアルコール摂取も胃がんの原因と考えられます。
Q.胃がんになりやすい人には、どのような特徴がありますか
性別で見た発症数は2:1で男性に多い病気です。スキルス胃がんだけに限定すると、2:3で女性に多い特徴があります。 また、胃がんには家族歴が大きく影響しています。胃がんになった家族がいる人は、そうでない人と比べて男性で1.6倍、女性で2.4倍、胃がんになりやすいと報告されています。 しかし家族歴があっても、胃がんの原因が遺伝であるとは断定できず、ピロリ菌感染の影響や食生活・生活習慣が原因のこともあります。 年齢別死亡率を見ると40歳手前までは0に近いですが、45歳を過ぎたあたりから急激に増加します。これは幼少期に感染したピロリ菌により、長年胃の粘膜に炎症が持続することで45歳過ぎから胃がん(腺がん)を発症するからだと考えられます。スキルス胃がんは20代に発症する方もいます。