[MOM4925]滝川二GK竹本航(3年)_非常事態にも“声”でフォロー…PK戦2本ストップで自身の役割を全うした守護神
[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ] [11.10 選手権兵庫県予選決勝 滝川二高 0-0(PK5-3) AIE国際高 ユニバー記念競技場] 【写真】影山優佳さんが撮影した内田篤人氏が「神々しい」「全員惚れてまう」と絶賛の嵐 滝川二高のゴールマウスを守るGK竹本航(3年)に対する周囲の信頼は絶大だ。「PK練習でも止めていたので、彼を信じてみんながやっていました。自分らが決めれば大丈夫だと思えたのは大きい。今シーズンを振り返って彼の功績は大きくて、スーパープレーを今日みたいな舞台で出してくれる」。そう口にするのは小森康宏監督。 DF酒井悠利(3年)もこう続ける。「竹本は全員に好かれている。人のことを考えられる選手で、みんなの気持ちが良くなるような言葉をかけてくれる。プレーでも良いセーブを見せてくれる」。 結果的にはPK戦でのシュートストップが勝利の要因となったが、試合中の貢献も大きかった。「想定もしなかった開始早々のレッドカード」(竹本)によって前半11分以降は10人での戦いを強いられた。取った対応策はMF八木寛人(3年)をCBのDF加野陽己(3年)に変えて、4バックから5バックへのシステム変更。非常事態に備えて練習してきたとはいえ、急きょ普段とは違うシステムと守り方に対応するのは簡単ではない。竹本はチームメイトがプレーしやすいよう、最後尾から的確な指示を飛ばし続けた。 DF樋渡航(3年)らDF陣の奮闘もあって、押し込まれながらも竹本のところまで飛んできたシュートは数本だけだった。危ない場面は延長後半10+2分にMF杉浦煌仁(3年)が放った浮き球のシュートぐらい。この場面も自信のあるジャンプ力を生かして、枠外にはじき出した。 「ラストのシュートセーブは自分で言うのもなんですが、大きかった」と笑う通り、直後に迎えたPK戦への弾みがついたのは間違いない。「ピッチの選手が走ってくれた分、PKは僕が役割を果たすだけだったと思っていた」と竹本は振り返る。 1、2本目は相手に決められたが、3本目は事前に見ていた準々決勝の映像が記憶に残っていたという。左に蹴るのは分かっていた上で、シュートコースを見てから右に跳ぶと。見事にセーブ。直後には4番手としてキックに挑むと冷静にゴールの真ん中に突き刺した。彼のプレーとコーチングがあったから、苦しい試合展開を乗り越えることができたと言っても過言ではない。 中学時代に所属した名古屋U-15の三木隆司監督が、滝川二の出身だった縁もあって声がかかり、入学を決めた。176㎝とGKとしては小柄な分、力を入れているのはビルドアップ。後方から丁寧にパスを繋ぐスタイルは彼に合っており、DFに交じって組み立てに参加。機を見て入れる前線へのロングフィードも効果的で、チームに欠かせない選手になっている。 試合前日に名古屋U-15時代のチームメイトだったGK水谷準乃右(3年)が所属する愛工大名電高の選手権出場が一足早く決定したことも大きかった。「連絡を取ったら『全国で会おう』と言ってくれて刺激になったし、勇気をもらいました」。 全国の舞台でも竹本の存在がチームの行方を大きく左右するのは間違いない。「タキニらしく怯まず、驕らず、溌剌と戦いたい。驕りはないと思うのですが、怯まずタキニらしく元気よくサッカーがしたい」と話す通り、タキニらしく、竹本らしくプレーすれば結果は付いてくるだろう。 (取材・文 森田将義)