ツアー最終戦を控え試合を故障棄権したルブレフ。直前に敗れた選手が「フェアではない。去るとわかっていたのに」と不満<SMASH>
男子テニス世界ランク53位のロレンツォ・ソネゴ(イタリア/29歳)が、海外メディア『UBITENNIS』の独占インタビューに登場。その中で現在開催中のシーズン最終戦「Nitto ATPファイナルズ」(11月10日~17日/イタリア・トリノ/室内ハードコート)の出場権を獲得した直後に、参戦中のツアー大会を棄権したアンドレイ・ルブレフ(ロシア/8位)を批判した。 【動画】ルブレフが棄権する前の試合で敗れたソネゴ。「モゼール・オープン」3日目ハイライト 最終戦レースランキングで圏内ギリギリの8位につけていたルブレフは、ポイント加算のため前週のATP250シリーズ「モゼール・オープン」(11月3日~9日/フランス・メス/室内ハード)に急遽第1シードで参戦。初戦となった現地5日の2回戦でソネゴと対戦し、7-6(3)、7-5で勝利してベスト8に進出した。 ところが同日にレースランキング6位だったジョコビッチが最終戦欠場を発表し、ルブレフのファイナルズ出場が確定。直後にルブレフはコランタン・ムーテ(フランス/69位)とのモゼールOP準々決勝を試合前に棄権したのである。大会の公式SNSでは腹筋の負傷によるものだと発表されたが、ソネゴはファイナルズ出場が決まった段階でルブレフが大会を去ることは既定路線だったはずだと自身の考えを主張。批判の言葉をこう口にした。 「ルブレフの振る舞いはフェアではなかったと思う。大会に出場して、良い結果を出すために頑張ろうとか、向上したいと考える選手もいるんだ。ラッキールーザー(予選敗者が本戦に繰り上がる措置)で出場を待っていた人たちもいたが、彼はその可能性を奪ったわけだ。彼は(最後まで)プレーしないとわかっていたのに、僕が勝ち進む機会をも奪った。これは僕に対してもフェアで敬意を払った行動だとは言えない」 「それに、彼のコーチは(自分との)試合前にルブレフにトリノへ出発することを伝えていたらしい。彼らはすでに大会を去ることがわかっていたから、(試合前に)コートへスーツケースを持って現れさえしたよ(笑)。でも大会で勝ち進むために一生懸命頑張る選手たちにとって、彼が全くそういうことを気にしていないのは、あまり良いことではないと思う」 ただし現行のルールでは、大会途中でのケガによる棄権はどのタイミングでも問題なく行使できる。あらかじめプレーをやめることがわかっているなら他の選手にチャンスを譲るべきだというソネゴの意見も一理あるが、大事なファイナルズを前に、事が故障絡みでもあるだけに、ルブレフのぎりぎりの判断も尊重されるべきだろう。 文●中村光佑