伊吹氏・先﨑氏が直言!国民民主党人気に見る日本政治の危機、少数与党・自民党の課題
財源を示さず支持者を拡大する国民民主党の危険性
竹俣紅キャスター: 衆議院選挙で議席数を4倍に増やした国民民主党は、臨時国会でキャスティングボートを握り、与党と野党の関係を変化させたようにも見える。10月に1.3%だった政党支持率は、11月に10.1%へ急上昇、12月には11.3%となり立憲民主党を逆転した。10~30代に最も支持されているという結果も出ている。 先﨑彰容 日本大学教授: 先日の街頭演説で、役職停止中の玉木代表がニコニコ笑いながら「無役の玉木でーす」と出てきた。最後には「私が言っていることを皆さん支持してくれますか?」、わっと反応があり映像が終わる。都知事選における石丸候補の喋り方と全く同じ。 自分たちの力を拡大する戦略だからそれは構わない。ただ現象として考えたとき、この様子を皆が写真に撮ってSNSに載せる。SNS上で支持者だけが集まって“島宇宙化”する。 そして、その現象が街頭演説の場で可視化されている。玉木さんに対し、賛成の声しか返ってこない場所になっている。イエスマンを意識的に作っていく戦略をどんどんやっていることは問題。 伊吹文明 元衆院議長: 103万円の壁を178万円に上げると提言すれば皆賛成する。だが、その財源をどうするかというのが政治。古川国対委員長は、財源を考えるのは与党の役割だと言ったが、これを考えて提言をしなければ政策にならない。 玉木さんは、政府や特に財務省は税金を取って給付に回してばかりだから減税は良いと発言した。ならば給付のどこをカットするか。「あなた方の公共サービスはこれだけなくなる」「ここの税金をこう上げるから納税者は負担をしてください」と国民に言わねばならない。 これを抜きに支持を取っているのは非常に危険。 竹俣紅キャスター: 2025年には、6月に国会が会期末を迎え、7月には東京都議選と参院選、11月には自民党が結党70周年。自民党はどう臨むべきか。 伊吹文明 元衆院議長: 大きな政治的ビジョン、判断するための政党としての価値観、その中での政策、それを動かしていく権力のやり取り。野党との関係を戦略的に進めなければいけない。 また、野党が引っ張りたいであろう政治とカネの問題にどう対応するか。参院選で負ければ自民党はしばらく政権に戻れないと思う。今回は自民党の改選数が比較的少ないので、それも考えて準備をして、負けないことを一番に考える。妙な妥協をせずに政策で争った方がいい。 先﨑彰容 日本大学教授: 例えば財源についてはお任せだと野党が言えば「あなた方は責任が取れない、どういう財源なのか言ってみなさい」と言える。自分に有利なように駆け引きを持っていくことが権力闘争のイロハ。自民党はその嗅覚を研ぎ澄ませなければならない。 2024年は民主主義が揺らいでいることがよくわかった1年だった。実際の影響が出るのは翌年。外交でもいろんな駆け引きが起きる。日本が役割を果たすため、どの政党であれ頑張ってほしい。 (「BSフジLIVEプライムニュース」12月17日放送より)
BSフジLIVE プライムニュース