伊吹氏・先﨑氏が直言!国民民主党人気に見る日本政治の危機、少数与党・自民党の課題
公共の精神で“大きな話”をする政治家がいない
竹俣紅キャスター: 12月11日に自民・公明・国民の3党が、いわゆる103万の壁について国民民主党の主張する178万円を目指した2025年からの引き上げに合意した。 翌12日には、維新と教育無償化の協議開始で合意。その他にも野党の主張を受け入れ2024年度補正予算が成立、また政治改革関連の3法案が衆院を通過した。与野党の姿勢をどう見るか。 先﨑彰容 日本大学教授: 僕は最近、103万円の話などがあまりにも踊っている、その踊り方に対して怒りがある。例えば7兆円の税収減の可能性があるという話がある。 一方で、地方において医療費や給食など全て無償化する話がある。すると、財源の問題が今の日本にとって最大の問題になる。逼迫(ひっぱく)した社会保障費に手をつけると言える政治家は出てくるか。国民も馬鹿ではない。国もお金がない中「お金をこう使わせてください」と全体の話をする政治家がなぜいないのか。 伊吹文明 元衆院議長: 豊かな国ではどこでも起こっている状況。いろいろな価値観が、国境を越えてSNSで自由に入ってきて、それを受けとめる政党がたくさんできる。 そのとき、国民が安定を求めるのか、悪く言えば個別の国民におもねって人気取りをしていく政党に票を入れるか。これは、国民主権の民主的政治の危機。 国民に「もう一度組織に対する帰属性や公共の精神を取り戻して民主主義の投票をしよう」と呼びかけ、「それに対し私はこういう国家像を作りお応えする」という姿勢が政治家にないのでは。 先﨑彰容 日本大学教授: 今、政治家が「金が全てじゃない」と言えば、炎上して終わりだから言えないのはわかる。だが「公共的なことを必死でやるからついてきてください」という構えを見せないといけない。 G7のような国では、軒並み民主主義の制度がうまく機能しなくなり、ヒトラーが出てくる前の戦前のドイツと同じようになっている。一方で、権威主義的な国家は台頭している。時代にそぐわなくとも、構えを見せる大人がいなければいけない。