3月16日開通! 「北陸新幹線」金沢~敦賀間延伸直前のドタバタ現地ルポ
果たしてその見込みはあるのか? 敦賀の人に聞いてみた。まずは駅前で乗客待ちをしていたタクシー運転手から。 「東京から来たお客さんのうち8割、9割が金沢と福井で降りてしまうでしょ。終点の敦賀まで行って観光でもしてみようとする物好きは1割ほどしかいないのでは。その1割に期待するしかないけど、多くは望まないです(笑)」 また、別のタクシー運転手はこう語る。 「敦賀は昔からまったく観光には力を入れてこなかった。また、観光PRがすごくヘタ。敦賀の観光地は? と聞かれても、われわれですらパッと思いつかない。あえて挙げるなら日本三大木造鳥居で売っている気比神宮なんですけど、県外の人にどれほど知名度があるのか不明です」 この神宮には、駅から商店街を15分ほど歩けば到着するのだが、残念なことに商店街の多くの店は開いておらず、シャッター街と化しているのが現状だ。 ただ、なぜかこの商店街には松本零士氏の原作作品『銀河鉄道999』や『宇宙戦艦ヤマト』の名シーンを再現した銅像が点々と立ち並んでいて、それが目を引く。前出のタクシー運転手が語ってくれた。 「あれは市民にしてもちょっと理解しづらいものです。松本零士さんは敦賀出身でも敦賀に滞在したことがあるわけでもない。 なぜ敦賀に?というと、敦賀港の開港100周年記念事業で、『科学都市』『港』『鉄道』という敦賀市のビジョンが作品に合ったという理由だけのようです。まあそれを聞いた観光客の皆さんは不思議そうな顔をされますよね(笑)」 では、今後の観光地化の見込みは何かあるのか。敦賀駅前商店街理事長の河藤正樹氏に話を聞いた。 「福井の県民性は慎重で、実際に新幹線の運転が始まって乗降客がどれくらい動くのかなどハッキリしないうちは動きたくないというところもあると思います。ただ、敦賀は未開の地。 われわれ地元民も知らない観光資源が残っていると思います。まずは県外からやってくる観光客の様子を見て、これはいけるとなったときにエンジンがかかるのでは。なので、長い目で沿線の駅や街を見ていただけたらと思います」 コロナなどもあり、準備が慎重になったのは納得。新幹線の開業とともに、徐々に繁栄していき、震災を吹き飛ばすほどの北陸の復興を祈るばかりだ。 取材・撮影/ボールルーム