3月16日開通! 「北陸新幹線」金沢~敦賀間延伸直前のドタバタ現地ルポ
駅前で客待ちしているタクシーの運転手に工事の遅れについて意見を聞いた。 「残念というか、恥ずかしいですね。駅の工事はもう4、5年前から始まってましたから。駅舎自体は去年の夏頃に完成。新幹線も今は試運転しながら、ゆっくりですけど、駅を行ったり来たりしている。なのに、駅構内だけが市の不手際で開業しても工事中なんて理解できないです。 せっかく県外から温泉に来られたお客さんもこの駅の工事の様子を見たら、エーッて思いますよね。本当に行政は何をしてるんだ、と言いたい気持ちです」 とにかくあと半年以上は駅の工事が続く。「加賀温泉駅」の名物は温泉ではなく、「駅前の工事」などと揶揄されないよう祈るしかない。 ■たくさんの恐竜がお迎え「福井駅」 間に合わないのは「加賀温泉駅」の駅構内工事だけではない。福井駅で準備されている主役級のものが開業に間に合わないらしい。 福井駅では駅周辺を恐竜だらけにする「恐竜駅大作戦」が進行中。9年前の北陸新幹線開通に合わせて、福井で見つかった化石の恐竜(フクイティタンと名づけられている)などの動く恐竜ロボットを設置して観光客をうならせた。 さらに、今回の延伸に合わせて、恐竜ロボットの増設を計画。駅西口にティラノサウルスとスコミムス、さらに駅東口にトリケラトプスの親子と、4体の恐竜ロボットを追加。そして、福井駅直結の「福井市観光交流センター」の屋上にも恐竜が大小あわせて13体追加された。 と、このように、すでに恐竜だらけなのだが、ここで悲報が。西口に設置される予定のスコミムスの完成が開通に間に合わないとのこと。 「海外製の部品の輸入が遅れているのが理由で、完成時期は未定です」(福井県魅力創造課担当者)。 まあ、大問題になっているかというとそれほどにあらず。福井市民からは寛容な声が。 「福井は恐竜しかないから、県も市もPRしろと言われたら恐竜で押すしかないんでしょう。すでにほかの恐竜でいっぱいですからね......ひとつくらいなくても気にならないんじゃないですか」(20代・女性) 「今の福井が盛り上がっているのは2000年にオープンした福井県立恐竜博物館のおかげ。博物館ができてから飲食店などが整備されたり、今回の延伸でも高級ホテルが入る高層ビルができたりしている。福井の発展は恐竜さまさまなんです。駅前の恐竜の完成が遅れたところで、文句は言えません」(70代・男性) このように、恐竜への不満の声は聞こえず、市民も足並みはそろっているようだった。