3月16日開通! 「北陸新幹線」金沢~敦賀間延伸直前のドタバタ現地ルポ
飲食店の店主も語気を強めて語る。 「本来なら無理をしてでも、在来線の武生駅とくっつけんとあかんかった。この辺りの人、誰があんなに遠くて周りに何もない『越前たけふ駅』まで行ってわざわざ新幹線に乗ると思います? 止まる本数も少ないのに。 みんないつも利用している在来線で福井駅まで行って、福井駅から新幹線に乗りますよ。福井駅には全部の新幹線が止まりますから、よっぽど便利。なんのためにあの駅を造ったのかさっぱりわかりません」 というわけで、そもそもなぜあんな所に新幹線の駅を?という素朴な疑問を福井県の新幹線建設推進課の担当者に聞いてみた。 「この新幹線のルートや駅については昭和50年代に『鉄道運輸機構』という機関が決定しています。 当時、敦賀駅と福井駅は在来線の駅と同じ場所に新幹線の駅を造ると決められていたのですが、ほかの駅については新幹線が効率良く進む直線上に駅を造ることになっていて、越前市の辺りでは高速(北陸自動車道)の武生インターチェンジの近辺に、となったようです」 それで、新幹線の駅前なのに「道の駅」がオープンしたのか。理由に納得。では、新幹線の駅前一等地に商業施設や宿泊施設ではなく、なぜメーカーの研究施設なのか? 続けて聞いた。 「当然、商業施設も含め、誘致活動を何年も前からやってきました。しかし、商業施設目当てに新幹線を使って観光客が来るものではないということもあって、誘致が難しい現実がありました。 では、人が集まるほかの方法をということで、『働く場所をつくろう』となり『福井村田製作所』さんに来てもらうことが決まったんです。2年後に、数百人規模の方が通勤するようになります。そうなるといきなり誘致するのが難しかった商業施設なども誘致しやすくなるのではと考えております」 今はポツンと駅だが、高速道路や企業との相乗効果でどこまで賑わいをつくれるのか注目だ。 ■今回の延伸の終着駅「敦賀駅」 敦賀駅は今回の延伸の終点駅。東京駅から来た乗客は金沢駅、福井駅を越え、この敦賀駅にやって来る。さらに大阪に行く人はここで特急サンダーバードに乗り換え、名古屋に行く人は特急しらさぎに乗り換える。 ただ、敦賀市にしてみれば、経済効果を考えた場合、乗り換えるだけでなく、駅を降りて観光スポットや商業施設にいかにお金を落としてくれるかどうかにかかっているわけだが......。