日本発スポーツビジネスの“業界標準”を作れるか ダンスのプロリーグ「D.LEAGUE」の挑戦
日本のダンスの市場が熱気を帯びている――。2024年パリオリンピックの新種目ブレイキンではAmi(湯浅亜実)が初代女王に輝いた。男子の代表Shigekix(半井重幸)も4位に入っている。彼らは10月に新シーズンが開幕したプロのダンスリーグ「D.LEAGUE」(Dリーグ)にも参戦。ダンスの人気向上に一役買っている。 【写真を見る】TAKI選手の香水のNFT 2028年ロサンゼルスオリンピックでブレイキンは正式種目から外れるものの、同リーグを運営するDリーグ社の神田勘太朗COOは「ダンスのビジネス市場は伸びる一方」と、今後の運営に自信を見せる。創設5年目にして、すでに黒字化も視野に入り「将来的には米国、中国、欧州への展開も視野に入れている」と強気だ。Dリーグの展望を聞いた。
毎年ルールを調整 「ユーザー体験の最適化」を図る
Dリーグは、2024~25年シーズンで5年目を迎える。同リーグが発表した資料によると、日本のダンスの潜在市場規模は600億円に達し、2025年の競技人口は1100万人に達すると予想している。2012年には学校の授業でもダンスが必修化された。小中高を加えた市場規模は約2000万人に上る巨大市場だ。 Dリーグはオーディエンスの支持を得るために毎年、フォーマットやルールを微調整してきた。今シーズンはジャッジの評価の中で「シンクロパフォーマンス」「エースパフォーマンス」「テクニック」「オーディエンス」など6項目で審査する。 例えば、今シーズンから導入したシンクロでは、各チーム8人の出場ダンサー全員が踊りを合わせる必要がある。「チームでピッタリと踊りを一致させることは、努力次第で良くなります。練習量の絶対値が1つの基準になると考えました」 スマホなどで聴衆が投票するオーディエンスは、以前から審査項目の一つに入っていた。投票しやすくするために、UIの設計にも気を配っている。「オーディエンスによるジャッジは絶対にやるべきだと、Dリーグが始まったときから言ってきました。SNSによってネットが民主化された中、スポーツがオーディエンスの意見を取り入れないのが不思議だったからです」 そのためプロの審査員の評価と、客の判断とのベストなバランスを模索してきた。「やっと良いバランスが見つかりました。(聴衆にとっては)もし自分の投票判断と、ジャッジが認めたチームが一致していれば、自分たちの納得性も上がりますから」