原価4円の紙が100円で売れる…江戸時代から日本人を一喜一憂させてきた「おみくじ」のルーツ
■氷川神社のおみくじは14種類もある ③「平」があるおみくじがある さいたま市大宮区にある氷川神社は、武蔵一宮にして首都圏に点在する約280の氷川神社の本社です。この神社を「氷川の大いなる宮」とあがめたことが「大宮」の地名の由来となっています。 一の鳥居からはじまるケヤキ並木のある約2キロの参道は日本一長いとされ、歩いていてもとても気持ちがいい。私の大好きな神社のひとつで、年に一、二度は参拝させていただいています。 ここのおみくじは吉凶の種類が非常に多いことで知られます。 多くの神社では、おみくじの種類は大吉、吉、中吉、小吉、末吉、凶といった感じかと思いますが、氷川神社の場合は大吉、吉、末吉、小吉、凶、平吉、平、凶末吉、凶向吉、初凶末吉、吉凶末分、吉凶相交、吉平、向吉の14種類が「運勢一覧」として公式モバイルサイトに紹介されています。 おみくじは1番から50番まであり、それぞれに古事記や日本書紀に伝わる出来事などが表題としてつけられています。書かれている14種類の運勢は、いい悪いの順番はありません。 ■吉になるか、凶になるかは心がけ次第 一般的になじみのない運勢は、以下のような意味とのこと。 ---------- 吉凶末分(きっきょうすえにわかれる)、吉凶相交(きっきょうあいまじわる):心がけ次第で吉にも凶にもなる 平(たいら):平かで穏やかな状態なので今の状態で待つのが良い 向吉(むかうきち)、初凶末吉(しょきょうきち)、凶末吉(きょうすえきち):今は良くないが徐々に良い方に向う 平吉(たいらきち)、吉平(きちたいら):今の状態で待っていれば良い (氷川神社公式モバイルサイトより) ---------- なかなか複雑ですね。要は、すべては心がけ次第、吉凶にこだわらず書いてある内容に注意を払えということでしょう。
■現時点で信仰すべき神社まで教えてくれる それ以外にも氷川神社のおみくじで特徴的なのは、文末に現時点で信仰すべき神社(境内の摂社・末社)が記載されていることです。 氷川神社の広い境内には、門客人神社、天津神社、宗像神社、松尾神社、御嶽神社、稲荷神社、天満神社など個性的な神社が点在しています。その神社がどこにあるかを探して参拝するのも楽しみのひとつです。 ④イケボで聴けるおみくじがある 数カ月前に、新年の福男神事で有名な西宮神社(兵庫県)に参拝しました。 「スマホで聴ける言霊おみくじ」というのがあったのでひいてみました。 「言霊おみくじ」の特徴は、QRコードからその内容をイケボ(いい声)の声優さんが読み上げてくれるということです。幸い大吉だったので、ええ声で読み上げてもらえることでテンションが上がりました。このおみくじは、西宮神社オリジナルなものではなく、全国のいくつかの神社でも手に入れられるとのことです。 ---------- 川上 徹也(かわかみ・てつや) コピーライター、湘南ストーリーブランディング研究所代表 大手広告代理店を経て独立。『物を売るバカ』(角川新書)『あの日、小林書店で。』(PHP文庫)など著書多数。海外6カ国にも20冊以上が翻訳されている。 ----------
コピーライター、湘南ストーリーブランディング研究所代表 川上 徹也