東大名誉教授・井上達夫が喝破…岸田総理が「好きなときに解散総選挙できる」今のしくみは「憲法違反」である
6月上旬に時事通信が実施した世論調査で、岸田政権の支持率が最低の16.4%まで低下。国民の中には「再びの政権交代」を期待する声も出始めている。 【一覧】「次の総選挙」で落選する裏ガネ議員の全実名はこちら…! 第一線の政治学者やジャーナリストは、その可能性をどう見ているのか。田原総一朗、御厨貴、牧原出、久江雅彦、井上達夫の各氏が「週刊現代」の連続インタビューに応じた。 田原総一朗さんのインタビューはこちら:【田原総一朗が立憲民主党に喝「本気で政権を獲る気があるんですか!?」批判ばかりで満足する野党の「怠惰と無責任」】 御厨貴さんのインタビューはこちら:【政治学者・御厨貴が語る未来の日本「私がこの国を引っ張る」という者が消え、無気力が蔓延し…そして混乱の時代が始まる】 牧原出さんのインタビューはこちら:【「国を守る」と言えない「リベラル野党」に日本は任せられない…いま「政権交代」のために左派が引き受けるべき「覚悟」】 久江雅彦さんのインタビューはこちら:【なぜ日本には「二大政党制」が根づかないのか? 自民圧勝の選挙結果が「民意とかけ離れている」その「根本的な理由」】 ---------- 井上達夫(法哲学者)/1954年生まれ。ハーバード大学客員研究員などを経て東京大学大学院法学政治学研究科教授。'20年退職、東京大学名誉教授に ----------
「延命選挙」にはうんざり
これだけ円安が進んで経済が低迷しても、まだ国民の多くは「政権を担えるのは自民党だけ」と思い込んでいます。 自民党は、安倍がダメなら菅、菅が退けば岸田というふうに、党の看板だけ替える「疑似政権交代」によって国民の不満をガス抜きしつつ、権力を維持してきました。一方、野党も政権獲得への気概をすっかりなくしてしまいました。 この政治状況の大きな制度的原因は、三つあると考えています。 第一の問題が、総理が持つ「解散権」です。現在、総理は内閣不信任決議案が可決されなくても、都合のいいときに衆議院を解散できることになっています。根拠とされるのが、'52年に吉田茂総理が「抜き打ち解散」を行ったときの経緯です。 最高裁は1960年、吉田総理の解散は憲法第7条が定める「天皇の国事行為」にもとづいており、合憲であると判断しました。それ以降、与党自民党は政権維持に有利なタイミングを狙って衆院を解散できるようになりました。
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