「私の人生、終わったな」恋も仕事も順調だった27歳で突然“卵巣がん”宣告…大企業出身の女性(32)が明かす、がん発覚の経緯
看護師から突然「今から親御さんは呼べますか」と…
――その時点で、がんといった病気が頭によぎりましたか。 長藤 全部の検査が終わったのが夕方の4時頃で、さすがに大げさじゃないかなとは思いつつも、重い病気とかはまったく考えず、ただひたすら、「大きな病院って手厚いんだなぁ」「軽い気持ちで来てしまって申し訳なかったな」と思っていました(笑)。 そうしたら個室に呼ばれて、看護師の方から、「今から親御さんは呼べますか」と言われたんです。そこではじめて、ことの重大さに気がつきました。 ――検査を受けた当日にそのまま告知があった? 長藤 そうです。30分くらいで慌てて飛んできた母と一緒に、「残念ですが、卵巣がんの可能性が高いです」と言われました。
「私の人生、終わったな」「思い描いていた未来がなくなった」
――最初の検査で、今思えばそのときの先生の様子が変だったとか、そういうことはありますか。 長藤 最初の検査は経膣エコーだったんですけど、婦人科の診察って、お互いの顔が見えないように間にカーテンがあるじゃないですか。だから先生の表情もわからなくて。 そもそも、卵巣がんは病理にかけないと正確な診断が難しいそうです。ただ、そんな中でも明らかに卵巣が腫れていたことと、通常の人なら腫瘍マーカーの値が4とか5のところ、私は14万という高い数値が出ていたので、「卵巣がんの可能性が高い」という言葉になったそうです。 ――告知をどのように受け止めましたか。 長藤 ズーンと悲しいわけでもなく、驚くわけでもなく、何も考えられないというか……たぶん、自分のこととして受け入れられなかったんでしょうね。ただただ、「夢かな?」みたいな、一回時間止まったような感覚でした。 ――一緒に告知を聞いたお母さまの反応は? 長藤 私より動揺していましたね。そういう母を前にすると、余計に自分は冷静というか、とにかく状況を把握しなくちゃと思っていました。母に「あなたは本当に強いのね」と帰り道に言われたことを覚えています。 ――告知された後は、一人でお家に帰ったのでしょうか。 長藤 当時つき合っていた彼が今の夫なんですけど、その彼に電話をして会いに行って、事実を伝えました。 その時って、付き合ってまだ2週間だったんですよ。だからこの先どうなるかわからない以上、お別れしたほうがいいなと思ったし、「私の人生、終わったな」という思いがすごく強くて。 ――がんになったら、仕事も恋愛も難しいと思った? 長藤 その時は、そうでしたね。仕事も一番楽しい時期だったし、フードコーディネーターとしての夢もあったけどそれも失ったと思いました。当時27歳で、あと数年の間に結婚して、近い将来子どもも持つのかなってぼんやり思い描いていた未来も、「あ、今、全部なくなった」と思ったんです。 撮影=細田忠/文藝春秋 「卵巣が5倍に腫れている」「破裂するかもしれない」27歳で“がん”発覚→卵巣摘出…大企業出身の女性(32)が語る、壮絶な闘病生活 へ続く
小泉 なつみ