【選手権】後半の2得点で堀越が2-0で津工に完封勝利 惨敗から2週間、堀越はなぜ完勝できたのか
12月31日、第103回全国高校サッカー選手権大会の2回戦が関東各地の会場で行われた。 【フォトギャラリー】津工 vs 堀越 駒沢陸上競技場では津工(三重)と堀越(東京A代表)が対戦し、2-0で堀越が完封勝利を収め、3回戦に駒を進めた。試合は後半12分、堀越MF8谷口悠成(2年)のパスからFW11髙橋李来(2年)がシュート。一度は阻まれたが、こぼれ球を押し込んで先制。さらに試合終了直前の40+1分、MF18小泉翔汰(3年)のパスを受けたFW10三鴨奏太(2年)がシュートを放ち、追加点を挙げた。 堀越は前半、津工の5枚の最終ラインをなかなか崩せず、前半のシュートはわずか1本。この膠着状態に「僕が一番焦っていました。この展開はまずいな~と見ていました」と佐藤実監督。しかし後半に入ると徐々にボールが回り始め、効果的な攻撃が見られるようになり、結果2得点。 佐藤監督は「選手のほうが冷静でした。点が取れないのは仕方がないなと割り切った感じはありました」とイレブンの戦いぶりを称えた。 大会前、かなり痛い惨敗を喫した堀越。12月16日、高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ2024プリンスリーグ関東2部 プレーオフ決定戦。勝てば参入という一戦で堀越は日体大柏に1-4で敗れた。 この敗戦をMF8谷口は「ホントに圧倒的にというか…(堀越は)T1リーグで勝って、少し気持ちが浮足立っていたかもしれません。相手の強度が一気に高くなるなか、自分たちは「まだ選手権がある」という油断があったと思いますし、相手(日体大柏)はもうこの試合しかない、最後の試合という気持ちでした。その気持ちの違いを感じました」と振り返った。 参入戦後、悔しさをかみしめる主将DF2竹内利樹人(3年)は「負けた悔しさを忘れるのではなく、吸収していかないといけない」と力強く語った。負けをただの負けにしない。そんな気概を感じた。 竹内の言う「悔しさの吸収」が、今回の完封勝利につながった。 この2週間、堀越はかなりの頻度で練習試合を重ねた。佐藤監督は「練習試合も良い相手とできました。前回大会ベスト4ということもあって相手のクオリティーが相当、違っていて、いろんなチームと試合をできたことで経験値を積めました。そのことがきょうの落ち着きにつながっているかもしれません。(日体大柏戦で)できなかったことが刺激になっていて「俺たちまだまだ足りないね」という基準になりました」と話せば、DF3渡辺は「日体大柏は市立船橋に勝っている強豪チーム。全国クラスのチームにあそこまで何もできなかったので『全国ではなかなか勝てないよね』という基準ができました」と振り返った。 全国区の基準。刺激。経験値とさまざまあるが、わずか2週間でここまで立て直す、あるいは負けを吸収できたのは、堀越が敷くいわゆるボトムアップ型があったからこそ。 DF2竹内は「(参入戦での)負けから自分たちなりに反省、修正を行いました。今日までの練習試合のなかで、相手の強度に対応しながら、自分たちのやりたいことを相手に押し付けていくことを目指しました。うまくいっていないと感じるのは自分だけではなく全員。練習試合のあと、出ていた選手で『何がうまくいかなかったのか』『どこを変えないといけないか』を話し合いました。言われるだけではなく、自分たちから焦って、自分たちから修正する。そのことでより早く修正できたと思います」と自主性の極致。堀越ならでは解決法と言える。 3回戦に進んだ堀越は2025年1月2日、駒沢陸上競技場で松山北(愛媛)と対戦する。 (文・写真=佐藤亮太)