冬のボーナス 静岡県内企業2.9%増 離職防止、消費押し上げ効果は限定的 静岡経済研究所予想
静岡経済研究所が25日発表した静岡県内民間企業の2024年冬のボーナス予想は、1人当たりの支給額が前年比2・9%増の40万8400円と、長期化する円安の追い風を受けた輸出関連製造業などの堅調な業績や継続的な賃上げを背景に2年連続の増額となった。ただ人手不足に伴う離職防止を目的とした面も強く、研究所の担当者は「昇給幅が物価上昇に追いついているとは言えず、景気回復要因としては弱い」と説き、消費押し上げ効果は限定的との見方を示した。 企業規模別では、従業員30人以上が3・8%増の47万6400円、29人以下は2・7%増の28万900円。支給総額は5・7%増の5086億円、対象者は2・7%増の124万5千人と見積もった。 県内上場企業の9月中間決算は、輸出型製造業を中心に多くの企業が経常黒字を維持した。対人サービス業など非製造業も業績改善傾向が見られ、原資が限られる中でも中小・零細企業が人材つなぎ止めを念頭にボーナスを支給する動きが予想される。 一方、10月の全国消費者物価指数は、価格高騰が続く米など食料品を中心に前年同月比2・3%上昇と引き続き高い水準にある。調査担当者は消費者の生活防衛意識の高さに触れ、「消費マインドが冷え込むと、(物価高騰と景気後退が同時に起こる)スタグフレーションに陥る可能性がある」と懸念する。 調査は鉱工業生産指数や有効求人倍率などボーナス支給額と相関が高い経済指標に基づき、統計的に算出した。
静岡新聞社