ボクシング“21歳のホープ”森武蔵が井岡一翔の所属ジムに電撃移籍して再起…井岡イズムで世界を狙う
プロボクシングの前WBOアジアパシフィック・フェザー級王者の森武蔵(21)が、4階級制覇王者、井岡一翔(32)の所属している志成ジムに移籍することが16日、明らかになった。森武蔵は5月21日に行われたロンドン五輪銅メダリストでOPBF同級王者の清水聡(35、大橋)との統一戦に判定で敗れ、その後、進退を保留していたが、環境を変えて再起、世界獲りへ再始動することになった。なぜ挫折を知った21歳のホープは再起&移籍を決意したのか?
ロンドン五輪銅メダリストにリベンジしたい
「このままじゃ終われない。すべてをゼロから出直したい。そして、いつか…できるだけ早く清水さんにリベンジを果たしたい」 挫折を知った森武蔵が、これまで所属していた薬師寺ジムから志成ジムへ移籍、環境を変えて再起することを決意した。 森は「1敗でもしたら引退する」との覚悟を持って5年前にプロボクサーになった。新人王を取り、WBOアジアパシフィックのベルトを腰に巻き、3度防衛した。無敗のまま、勝った方が世界への切符を手にする“アジア最強フェザー級決定戦”の清水戦まで駆け上がったが判定で敗れ、プロ13戦目にして初の黒星を味わった。 自分の言葉に嘘はつけない。 引退か、再起かで気持ちが揺れ、1週間、熊本の自宅に閉じこもり、1歩も部屋を出なかった。極度のストレスから過食症に陥り、体重は一気に10キロ以上も増えた。 悩み抜いた末に森が相談したのが尊敬する井岡だ。 まだプロデビューする前に井岡の防衛戦に向けての和歌山・白浜キャンプに呼んでもらい、その姿勢、ボクシングスタイル、理論、すべてに傾倒した。そこから親交が続き、トレーナーのイスマエル・サラス氏も同じで、これまでも試合の度にアドバイスをもらってきた。 森は熊本から上京して井岡に会ってもらった。清水戦の動画を見たという井岡は「恥ずべき試合ではない」と言い、「この先、あの試合があったから、今があると思えるようになればいい」との言葉をもらった。森の迷いは吹っ切れた。そして父親や、スポンサー、支援者とも相談し、所属先も含めてすべての環境を変えてゼロから再スタートすることを決意した。 所属ジムの会長で“レジェンド”辰吉丈一郎との伝説の統一戦に勝利したことで知られる元WBC世界バンタム級王者の薬師寺保栄氏に相談すると、「オレを見返すつもりで頑張れ」と、移籍を承諾し心よく送り出すことを約束してくれたという。