そうそう、この味! 新生「薪鳥新神戸」の焼き鳥にフードライターも歓喜
【森脇慶子のココに注目】「薪鳥新神戸」
2021年夏。彗星のように現れ、焼き鳥業界に衝撃を与えた「薪鳥新神戸」。炭火ではなく、薪の薫香を生かした前代未聞の焼き鳥は、瞬く間に焼き鳥ラバーのハートを捉え、一年先まで予約の取れない人気店となった。が、再開発による立ち退きのため惜しまれつつ今年6月20日に閉店。再開を今か今かと待っていたファンも多かったことだろう。その「薪鳥新神戸」が、約5カ月の充電期間を経て、11月11日、リスタートした。
場所は赤坂。住宅街に隣接した麻布十番時代と違って今回は赤坂見附駅のすぐ近く。繁華街の只中ゆえ場所も分かりやすい?と思いきやさにあらず。隠れ家的佇まいは以前のまま。いや、ある意味、もっとわかりにくくなった感もある。
駐車場奥のビルという立地もさることながら、入り口自体がおよそ料理店のそれとは到底思えないのだ。小さく掲げた「新神戸」の看板を頼りに扉の前に立てば、まるで倉庫のようなその扉に書かれているのは【火災受信器】の文字。ここで一瞬不安がよぎる。しかも鍵までかかっているのだから。ひょっとしたら入り口は別の場所かもしれない――と、初めてならば迷うこと必至。
事実、辺りを一周したというゲストも少なくないらしい。扉の横のインターフォンを押せば、鍵は解鍵。重い扉を開け、階段を降りれば扉がもう一つ待っている。そして、そこを開けると前店とは打って変わって広々とした空間が現れる。
「前店の2倍以上はありますね。カウンター席も2つ増えて12席。薪の炉窯も2つになったので、火を自在に扱えるようになりました」そう笑顔で話すのは、大将の疋田豊樹さん。5カ月間の休養中には海外にも出かけ、フランスのブレス鶏など現地の鶏をいろいろ試食してきたとか。その結論として「僕個人の意見ですが、焼き鳥には、やはり日本の地鶏が一番合っているように思います」とのこと。海外での知見を経て、焼き鳥愛をさらに深め、焼きの技術に磨きをかけた疋田さん。その新生薪焼き鳥のコース(16,000円)を早速味わってみた。