「風に勝つミスショット」って? 岩崎亜久竜は乱調でも3打差3位
◇国内男子◇ANAオープン 3日目(14日)◇札幌GC 輪厚C(北海道)◇7066yd(パー72)◇晴れ(観衆3310人) 【画像】岩崎亜久竜の「キャンプ」に密着 テレビ解説でおなじみ、ツアー通算9勝の佐藤信人が朝の取材中に首をひねっていた。「彼の持ち球はどっち…?」。ドライビングレンジで打ち分けの練習を繰り返すフェードとドロー。岩崎亜久竜はホールアウト後、悩んだ末に言った。「……どっちも、普通。得意じゃないです…」 基本の弾道を決めず、ロケーションや風によって、都度チョイスするのが岩崎流。ムービングデーは4つ目のバーディを決めた7番までは「完ぺきだった」。おかしくなったのは向かい風が吹いた8番(パー3)でローボールを放ってから。グリーンの左に落としてボギー。「急に人が変わって、球が散った」と劇的に苦しくなった。 ティショットを打てども、打てども「だいたい林。めっちゃ林」へ。公式発表の平均3.1m/sよりも強く吹いた風のせいじゃない。「自分のショットの影響っす」。左からの風にドローでぶつけても左へ、右からの風にフェードで戦わせても右へ。
「風が弱すぎた。風に勝つミスショット」。なんだか名言めいた表現の一打が延々と続き、「なんとかそのホールに収められるようにしていました。すごく長かったです。きょうは苦しすぎた…。ホントにひどかった」と息を吐く。6バーディ、3ボギーの「69」。通算14アンダーの3位で終えたとは思えない表情でフィニッシュした。 堂々と最終日を戦い抜き、初優勝した昨年「日本オープン」時の状態に比べて「めちゃくちゃ違う」と苦笑いする。今季初勝利の望みになりそうなのが最終18番のバーディ。LWで打った2打目が想定よりも追い風を受けず、ピン手前から15m残ったパットがカップに転がり込んだ。 「ガチで真っすぐ」というラインも“奇跡的”。「2段グリーンで3パットしないようにタッチを合わせようとしたら、たまたま入ってくれて。あしたに繋がりそうな…、繋がればいいな…」と、3打差の首位を追う日曜日を見据えた。(北海道北広島市/桂川洋一)