長野県塩尻市洗馬に平安時代の住居跡発見 「槻井泉神社北遺跡」集落の可能性も
長野県塩尻市洗馬の芦ノ田区で、平安時代の9世紀後半の竪穴住居跡が見つかり、発掘作業が10月末まで行われた。洗馬地区の地区誌編集委員会のメンバーが、かん水設備の敷設工事現場で土器を発見したことがきっかけで発掘が始まった。同区で平安時代の住居跡の発見は初めてで、同委のメンバーたちは地域の歴史の解明につながることを期待している。 住居跡は四角い形で、南北に約4メートル、東西は3メートル以上ある。同委古代部会の熊谷康治部会長が、遺跡が存在する可能性を考えて工事現場を見ていたところ、7月に掘削された土砂の断面から土器が顔を出しているのを見つけ、平出博物館に連絡。発掘が始まった。住居跡の北側にも、時代や用途がはっきりしない遺跡や大小の穴が見つかっており、発掘を行っている平出博物館職員・牧野令さん(40)は「集落的なものがあった可能性がある」とする。 一連の遺跡は、地元の槻井泉(つきいずみ)神社北側すぐで発見されたことから「槻井泉神社北遺跡」と名付けられた。 区誌編集委員会の中原文彦委員長は、遺跡のある地域が、三十三間堂として知られる蓮華王院(れんげおういん=京都市)が経営した荘園「洗馬の庄」だったとし、遺跡と荘園の関連の研究が進むことを期待する。発見について「非常に喜ばしい。令和11年3月刊行予定の地区誌の中でも遺跡のことを知らしめていきたい」と話している。
市民タイムス