石破首相はなぜ「ウケない」「新味のない」政策を唱え続けるのか 日本消滅の危機とは
国立社会保障・人口問題研究所の発表によれば、このままの出生率が続けば、200年後には日本の人口は1391万人、300年後には423万人、西暦2900年には4000人、3000年には1000人となるそうです。もちろん、これはあくまでも机上の計算で、出生率が上がらなければ、という前提ですから、実際にどうなるかはわかりません。また、西暦3000年なんて先の話は、想像すらできないし、する必要もないと思う人もいることでしょう。 ただし、出生率の低下が国家の存亡にかかわることであると実感するには、有効なシミュレーションではないかと私は考えています。 国家の存立要件とは何か。それは三つあります。 国土であり、国民であり、排他的統治機構です。 その大切な国民がこのまま事態が進めば、静かに消えていく。 これを有事と捉えない理由があるでしょうか。 私は長年、安全保障の分野に携わってきました。 安全保障政策に関しては、自民党と他の党とで必ずしも意見、立場が完全に一致するわけではありません。2015年の国会で、安全保障法制に関して合憲か違憲かといった議論が激しく行われたのはご承知の通りです。 それについては様々なご意見があるのでしょうが、少なくとも「日本国を守るため」「領土を守るため」「平和を守るため」に国家がベストを尽くすべきである、という前提はほぼすべての国会議員、国民が共有していると私は信じています。意見が分かれるのは、あくまでもその目的を達成する手段、プロセスに関する見解の相違によります。 国土を守る、国民を守ることの重要性については、ほぼすべての国民が理解している。だからこそ、尖閣や北方領土、あるいは拉致問題について、多くの人が熱心に議論し、あるいは行動をとっているわけです。 ところが、事が人口問題となると、そのような「熱さ」は感じられません。静かに、確実に進行している危機に対しては、まだどこか他人事のようなところがある。 しかし、それでいいはずがありません。 この問題もまた国の存立にかかわっているのです。 敵国が攻めてくるとか、領土を奪われるといったことは、現段階では「起こりうるリスク」です。そのリスクを極力、低減するために、私たちは外交的努力を続け、国内では様々な法案を整備し、自衛隊の力をつけるように努力しています。 一方で、人口問題はすでに「起こっていること」であり、現在進行形の問題です。にもかかわらず、政治家も国民もまだ危機意識が薄い。 だからこそ有事である、と私は申し上げているのです。