熊崎風斗アナ「丁寧すぎるぐらい丁寧に」五輪新種目ブレイキン実況 分かりやすさファースト誓った
パリ五輪で9日から始まる、大会唯一の新種目ブレイキン(男子)の実況を、放送機構・ジャパンコンソーシアム(JC)の熊崎風斗アナウンサー(35)=TBS=が担当する。「機会があったらぜひやりたい」と実況を熱望してきた種目で、数年をかけて準備を行い万全の状態で挑む。21年の東京五輪、22年の北京五輪(冬季)に続く3度目の大役。「言葉」は考えず、「丁寧すぎるほど丁寧に」伝えることを心がけるという実況への意識、意気込みを熱く語った。 大会唯一の新種目であるブレイキン。熊崎アナはほかにも競泳、バドミントンなど複数の実況を務めるため「頭の切り替えが大変」と苦労を口にしつつも、実況を切望してきた競技だけに「最終盤にしてヤマ場なので、結構気持ちが高まってる」と高揚している。 五輪の中継放送は、NHKと日本民間放送連盟で構成するJCが共同制作。TBSの局アナである熊崎アナは、JCの一員として実況に臨む。担当種目は自身の希望や実況経験の有無を問われるアンケートで決定。「五輪ならではの種目をやることは一つのモチベーションになる」と、ブレイキンの実況をするために全日本大会への取材やアジア大会の実況を数年にわたって務め、「実績」を積んできた。 日本代表には、これまで計47回の優勝経験を持つエース・半井重幸選手(ダンサー名・SHIGEKIX)ら男子2人、女子は世界最高峰の国際大会で2度の優勝経験を持つ湯浅亜実選手(ダンサー名・AMI)ら2人が出場する。 メダルに大きな期待がかかり、注目が集まるが、「最初は動画を見たところで何が行われてるか、実況、解説付きじゃないと分からなかった」と語るほど専門性が高い。だからこそ五輪で初見となる視聴者への意識が重要となる。「専門的な話をしちゃうと、その前段階が分からないことには何がすごいのか分からない。その中で『この人はここに注目してください』っていうのを、ちゃんと提示するのが実況の仕事としてはかなり大きい」と力説する。 実況では「絶対『言葉』は考えないようにしている」とこだわりを明かす。五輪では数多くの名実況が誕生しているが「僕は派手に実況はできないし、とっさに印象的な言葉が出てくるわけでもない。そういう意味では本当に目の前のものをちゃんとしゃべる」と説明した。 前例のない五輪でのブレイキン実況。「とにかく丁寧に、丁寧すぎるくらいに丁寧に」を心がけ、「自分が最初に見た時の気持ちを思い出しながら伝える」と宣言。「おじいちゃんおばあちゃんたちが見て『なんか分かった!』ってなるくらい丁寧を意識します」。万人に分かりやすく、初心者を置き去りにしない実況で、新種目の魅力を伝えていく。 ◆熊崎風斗(くまざき・かざと)1989年7月19日生まれ。明治大学卒業後、2013年にTBSに入社、主にスポーツ実況を担当。現在は「ひるおび」「Nスタ」「SASUKE」「ジョブチューン」、BS・CS「S☆1 BASEBALL」などを担当。「東京五輪」「北京五輪」でも実況を務めた。「世界陸上」や「アジア大会」など各種国際大会の実況経験多数。中学高校は陸上部に所属、長距離が専門。好きな言葉は「努力は夢中にかなわない」。夜景鑑賞士3級所持。