なぜ夫に相談しても無駄なのか? 女性と男性に「明らかなの差」が出た「ある能力」とは
職場で嫌なことがあったとき、近所付き合いでバツの悪い思いをしたとき、あなたは誰に聞いてもらいたいだろうか? もし既婚の女性であれば、一番身近なパートナーである夫に相談したいと思うかもしれない。しかし、夫に相談した結果、その反応にガッカリして余計嫌な気持ちになったり、夫婦喧嘩に発展してしまったりといった経験もあるのではないか。 なぜ、女性が男性に相談したり愚痴を言ったりしても、うまく噛み合わないのだろうか。それを明らかにした社会心理学の調査がある。心理学者・内藤誼人さんの著作『すぐに実践したくなる すごく使える社会心理学テクニック』(日本実業出版社)より、男女が噛み合わない理由をみていこう(以下、引用は同書より)。 ***
男性に愚痴を言うだけムダなのかも…
現実を理解したからといって、悩みがなくなるわけではありません。仕事でイヤな思いをすれば、誰しも家族や恋人に愚痴のひとつも聞いてほしいと思うもの。ただ話を聞いてもらえるだけでも、心はスッキリするからです。 けれども、女性が男性に愚痴を聞いてもらおうとするのは、あまりよい作戦ではありません。「今日、こんなことがあったのよ」と切り出しても、「ふうん、それで?」という素っ気ない態度しかとってくれない可能性が高いからです。 そういう男性の冷たい態度を見て、さらにイライラが募ってしまうかもしれません。イヤな出来事と男性の態度で、二重のイライラを感じなければならなくなります。 ただし、男性側の肩を持つわけではありませんが、これはしかたがないことでもあります。男性と女性を比べると、共感能力が高いのは圧倒的に女性。男性の多くは、人の気持ちに女性ほどの共感を示せないのです。 さすがにすべての男性は思いやりも共感能力も欠如しているとまではいいませんが、女性ほどには共感能力は高くない人のほうが多いのです。
共感能力の明らかな差
米国カンザス大学のダニエル・バトソンは、「ニキビをからかわれてイヤな思いをした」という人の文章を読んでもらい、どれくらい共感できるのかを調べてみました。 その結果、女性は大いに共感できることがわかりました。特に、自分も同じようにニキビやシミや髪の毛などをからかわれた経験のある女性ほど、共感できました。 ところが男性はというと、あまり共感できませんでした。「ニキビをからかわれて不愉快な思いをしたのか、あっ、そう……」という反応しか示せなかったのです。 残念ながら男女の間には、共感能力に関して明らかな差が見られますので、女性のみなさんは、そもそも男性に共感をあまり期待してはいけないのです。どうせ期待が裏切られて、さらに不愉快な思いをしますから。 女性のみなさんは愚痴を言いたいのなら、同性の友だちに聞いてもらいましょう。 「今日、こんなことがあったのよ」と話せば、「それは大変だったよね、大丈夫? 落ち込んでない?」と心から共感してくれるに違いありません。男性は(すべてとはいいませんが)、そういう配慮はなかなかできないものです。 *** 人の行動や感情が、他人やまわりの環境によってどのような影響を受けるかを分析・研究する学問を社会心理学といい、その知識はビジネスや勉強、恋愛においても貴重な示唆を与えてくれる。心理学者・内藤誼人さんの『すぐに実践したくなる すごく使える社会心理学テクニック』では、なぜ他人の不幸を喜ぶのか…? 「妬まれやすい人」が知っておきたい心理学テクニックなど、面白くて人生に役立つ知識を紹介している。 内藤 誼人(ないとう よしひと)/心理学者。立正大学客員教授 有限会社アンギルド代表。慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースに、心理学の応用に力を注ぎ、ビジネスを中心とした実践的なアドバイスに定評がある。『すごく使える心理学テクニック』(日本実業出版社)、『心理学BEST100』(総合法令出版)、『人も自分も操れる! 暗示大全』(すばる舎)、『気にしない習慣』(明日香出版社)、『人に好かれる最強の心理学』(青春出版社)など、著書多数。 協力:日本実業出版社 日本実業出版社 Book Bang編集部 新潮社
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