10月からの「在職定時改定」で気を付けたいポイントとは
在職定時改定と在職老齢年金における注意点
在職老齢年金制度は、今後の改正により支給停止基準額の引き上げや制度自体の撤廃の可能性もありますが、まだ決定はされていません。 そのため、在職定時改定制度とあわせて現行制度を十分に理解し、適切な対策を取ることが重要です。 ●収入の理解と管理の必要性 漏れなく年金を受け取りたいと考えた場合、年間の収入を把握し、支給停止基準額を超えないように注意する必要があります。 そのためには、就労の調整や、年金の繰下げなども検討をすることが重要です。「在職定時改定」がされることで、1年ごとに年金の受給額があがってくるため、その金額分も考慮して考えましょう。 さらに、年間の収入には賞与などの臨時収入も含まれるので、その点も注意してください。 ●勤務形態について 「在職定時改定」や「在職老齢年金制度」は、あくまでも65歳以降に”厚生年金に加入して働いている場合”に適用される制度です。 パートタイムやフリーランスなど、厚生年金に加入しない労働形態の場合、制度は適用されません。制度を踏まえた検討をする場合は、自身の65歳以降の働き方も踏まえて考える必要があります。 ●将来の年金額への影響 在職定時改定により、年金受給開始からの在職期間の厚生年金については、随時年金額に反映されます。 目の前の「年金を調整されないこと」を考え過ぎて労働を抑えるよりも、働けるだけ働いてその後の年金額を増額させるほうが、長期的にみてゆとりある老後を送る資源になる場合もあります。 自分の労働力とその後のライフプランを検討しながら考える必要があります。
おわりに
在職定時改定は、働く高年齢世代の年金受給に影響を与える制度です。 この制度により、働き続けることで年金額が増える可能性がある一方で、高額な賃金を得ている場合は在職老齢年金制度により年金が減額されたり支給停止されたりする可能性もあります。 制度の詳細な理解や給与収入との調整、将来の年金額の検討など、考慮するべきことも多く煩雑であるため、ファイナンシャルプランナーなど専門家のアドバイスを受けながら、長期的なライフプランを立てることも大切です。 高年齢層の就労が増加する中、年金制度と就労の関係はますます重要になっていくでしょう。 一人ひとりが自身の状況と現行の制度を的確に把握し、最適な選択をすることが、豊かなシニアライフを送るための鍵となります。 最新の制度への理解を深めて、就労と年金のバランスを取りながら、充実したライフプランの設計ができるようにしていきましょう。
参考資料
・総務省統計局「人口推計ー2024年8月報ー」 ・日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」 ・厚生労働省「第8回社会保障審議会年金部会資料 高齢期における年金制度」 ・厚生労働省「第16回社会保障審議会年金部会資料 令和6 <2024> 年財政検証結果の概要」 ・総務省統計局「労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)平均結果の要約」
斎藤 彩菜