洋上風力つがる・鯵ケ沢沖 2030年6月運転開始
国は24日、青森県つがる市、鯵ケ沢町沖の洋上風力発電「促進区域」の発電事業者として、JERA(ジェラ)、グリーンパワーインベストメント(GPI)、東北電力の3社で構成する事業体を選んだと発表した。運転開始予定は2030年6月30日で、事業期間は55年までの約24年間。国公表の評価結果によると、同事業には全国3事業体が応募していた。 洋上風力発電事業者の決定は、青森県初で全国9例目となる。代表企業のJERAは東京電力と中部電力が折半出資する発電大手で、GPIはJERAのグループ会社。 事業体の名称は「つがるオフショアエナジー共同体」。計画要旨によると、1万5千キロワットの大型風車41基(発電出力計61万5千キロワット)を沖合に建設する。電力供給価格は1キロワット時当たり3円。 風車の組み立てなど建設拠点となる「基地港湾」は青森港(青森市)とし、建設段階の利用期間は28年4月~30年8月、風車設置は29年中を想定。運転中を含む保守管理の拠点には青森港のほか、津軽港(鯵ケ沢町)を活用する。選定によって事業体は最大30年間、海域の利用が認められる。 公募は1月にスタート。応募した3事業体はいずれも運転開始時期を、評価基準のうち最速かつ最高点となる30年6月30日に設定。JERAなど3社が優位に立ったのは電力安定供給、運転開始までの事業計画といった項目で、リスクへの備えや分析の面で「対応策が示されている」として高評価を受けた。経済波及効果に関しても、ほか2事業体を上回る評価点を得た。 JERAなど3社は「丁寧かつ分かりやすい説明をしつつ誠実に協議しながら、地域経済の発展と持続可能な社会の実現に貢献していく」とした。 発電事業者の決定を受け、宮下宗一郎知事は「新たな産業立地として、本県や地域の雇用にも大いに貢献することに期待する」とのコメントを出した。 倉光弘昭つがる市長は文書で「この機会を最大限に生かし、地元事業者が洋上風力に関わる産業に参入しやすい環境を整えるとともに、新産業の創出を図りたい」などとコメント。平田衛鯵ケ沢町長は「町の要望がかない、新年度から津軽港を保守・管理拠点として改修する県の方針が決定している。津軽港を活用した地域振興につながっていけば」と期待を込めた。 国は洋上風力を再生可能エネルギーの主力電源化に向けた「切り札」に位置付け、促進区域を設けるなど開発を後押し。24日は山形県遊佐町沖の発電事業者を丸紅などの事業体とすることも合わせて発表した。 ◇ つがる市、鯵ケ沢町沖の洋上風力発電 「青森県沖日本海南側」の名称で、国から「促進区域」として県内で初指定を受けた。区域内は水深が50メートル以下のため、風車の土台を海底に固定する「着床式」を採用。電気は海底ケーブルで陸上へ送る。騒音防止などを踏まえ、海岸線から500メートル以内には発電設備を設置しない。県内は現在、日本海北側が「有望区域」、陸奥湾が「準備区域」に指定されている。