じゃないほうの鎌倉アルプス探訪! 秘境感溢れる朝比奈峠の古道「朝比奈切通し」を歩く
首都圏の日帰りハイクの人気コースといえる鎌倉アルプス。人気のルートは北鎌倉~鎌倉宮ないしは二階堂に至る天園ルートになります。古都鎌倉を代表するルートは歴史的見どころにあふれ、時折見渡せる鎌倉市内と海というロマンチックビューで女子人気も高いようです。でも、すべてのルートで海が見えるわけではないんです。 【写真】秘境感ハンパない朝比奈切通し散策のルートを見る(全16枚)
鎌倉アルプス最大の特徴といえば切通しとやぐら
梅雨の切れ間に天園じゃないほうの鎌倉アルプス、朝比奈切通しルートを歩いてみました。切通しはご存じのように街道などを整備し、交通の便を高めるために山や丘の一部を開削した道です。三方を山に囲まれた鎌倉の地に幕府を開いたのは源頼朝ですが、外敵勢力の進行を削ぐ必要もあり、後の執権・北条氏や鎌倉殿の13人に名を連ねた武将の子孫が狭い隘路(あいろ)の道を切り開いたとされています。それが鎌倉七口と呼ばれる切通しです。 今回のルートは朝比奈切通しの横浜市金沢区側から進みます。京浜急行金沢八景駅から京急バスで揺られること約20分。朝比奈バス停で降り立ち、住宅街を抜けて進みます。入口からして往時の雰囲気が伝わるようです。ゴツゴツの整地されていない岩むき出しの道と、鎌倉地層の岩壁。頭上に走る横浜横須賀道路が日差しを遮り、昼なお暗い道の演出となっています。道は滑りやすいので、トレッキングシューズが必要です。 現在でも地名で残っていますが、横浜市金沢区は鎌倉時代は六浦と呼ばれていました。上総や安房の房総半島からの物資の集散地としてにぎわったようです。そのためでしょうか、名越や大仏などの切通しに比べて主要幹線然として道は広く、極力人馬の通行に支障をきたすことはないようにも感じられます。安全保障より通商面での活用が重視されたのですね。 鎌倉市内へ歩を進めて右手に小さなやぐら風洞穴を見かけます。やぐらは当時のお墓です。横穴式墳墓のやぐらは、土地の狭い鎌倉の中心街では高効率なシステムだったようです。切通しもそうですが、やぐら群もまた鎌倉アルプスの語り部です。