【インタビュー】DeNA・宮崎敏郎 変化する自分を受け止めて「過去は過去で、今は今。23年シーズンのフォームで」
選択肢を広げて
DeNA・宮崎敏郎[内野手]
昭和最終世代、35歳の内野手は、これまで5度にわたり、打率3割をマークした。今季は、円熟味を増す打撃で開幕から好調を維持。5月中盤には、セ・リーグ打撃3冠の首位にも立った。年齢とともに、変化する体と向き合いながら、“今”のフォームで打席へ向かっている。 取材・構成=武石来人 写真=BBM ※成績は6月4日現在 通算1072安打を放つ巧打者は、35歳を迎える今シーズン、打つべき球を打ち、見逃すべき球を見逃し、リーグ屈指の打棒を見せている。相手を分析し、選択肢を増やし続けることが、好結果へとつながっていた。 ――現在、打率、本塁打、打点の三部門でリーグ3位以内の好成績です。好調の要因は、どこにあるのでしょう。 宮崎 あまり去年から変えたところはないんですけど、自分のスイングができている回数が多く、ミスショットなくとらえられているおかげだと思います。 ――3、4月期は、自身初の月間MVPを獲得しましたが、その際、「もともと、春先はいいほうではないので、自分の中では変な感覚」と話していました。その感覚は、今も継続していますか。 宮崎 今はそういう感覚はないですね。でも僕は毎年本当に春先が良くないので不思議な感じでした。いつも交流戦が始まるくらいの暖かくなる時期から調子を上げるというイメージがあるので。 ――となれば、これからさらに状態が上がってくると期待していいですか。 宮崎 いや、さすがにこれ以上、上がってくることはないのかなと思いますけど(笑)。 ――今がとてつもない成績ですからね(笑)。今季は特に、追い込まれてからの落ち球や外に逃げる変化球を平然と見送っているのが印象的です。その目つけは昔からできていたのですか。 宮崎 昔からではないと思いますね。今は、4打席ある中でのプランを立てて打席に立つことができています。その心の余裕ではないですけど、心持ちがボールになる球を振らなくさせているのだと思います。でも、若いときは「二軍に落ちたらどうしよう、どうしよう」っていう気持ちで打席に立っていたんですよ。打席数が少ないので、その1打席で「決めないと、決めないと」と考えてしまって、結果的にボール球にも手を出していましたから。 ――1試合トータルして考えられるようになったことが要因になっていると。 宮崎 そうですね。加えて、入団したばかりのころは、どのピッチャーがどんな組み立てや球種を持っているかも分かっていない状況だったこともありますね。もちろん対策用のミーティングはしますけど、全員が全員、打席に立って球筋を見ているわけではないので、当時はプランを立てるのが難しかったんです。 ――DeNAは、データや数字を大事にしています。宮崎選手自身はデータをどの程度、信頼されているのでしょうか。 宮崎 詳しいことは言えないですけど・・・
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週刊ベースボール