メガヒットを生み出した「殻を破る思考法」とは? 伝説のマーケターの発想術
ライフハッカー・ジャパンとBOOK LAB TOKYOがコラボ開催するトークイベント「BOOK LAB TALK」。第39回目のゲストは、『メガヒットが連発する 殻を破る思考法 伝説のマーケターが語るヒット商品の作り方』の著者・和佐高志さんです。 メガヒットを生み出した「殻を破る思考法」とは? 伝説のマーケターの発想術 これまでに綾鷹やSK-II、ファブリーズなど数々のヒット商品を手がけてきた和佐さんは、マーケターとしての33年間、「どうすればいいアイデアが出てくるのか」「どうすればイノベーションが起こせるのか」をずっと考え続けてきたといいます。 和佐さんは人類のイノベーションの歴史を振り返り、それらがもたらした便益(ベネフィット)をリストアップ。便益に多様な要素を掛け算することで画期的なアイディア=イノベーションが生まれるという、方程式が見えてきたのだそう。 この日のセッションでは、日本コカ・コーラ初のアルコール飲料参入を大成功に導いた「檸檬堂」の誕生までのエピソードなどを交えつつ、その探求の成果をうかがいました。
市場を変える「破壊的イノベーション」とは?
P&Gで18年間、日本コカ・コーラで14年間にわたり活躍し、昨年3月に株式会社JukeboxDreams(ジュークボックスドリームズ)を立ち上げた和佐さん。独立の理由を「あと10年は元気に働けそうだと考えたときに、何か新しいことをしたいと思ったから」と語ります。 本書の執筆もその「新しいこと」の1つ。本書は綾鷹、檸檬堂、SK-II、ファブリーズ、ジョイなど、和佐さんが手掛けた数々のヒット商品の舞台裏をたどりながら、マーケティングとイノベーションの本質を解き明かす一冊となっています。 まず和佐さんは、イノベーションとマーケティングの違いを次のように語ります。 「マーケティングは、すでに顕在化している顧客のニーズに対してアプローチし、既存の市場での持続的な成長を目指します。一方、イノベーションは潜在的な欲求に対して新しい価値を提供し、新たな市場を創造することを目的としています」 (和佐さん、以下同) マーケティングが「持続的」であるのに対して、市場そのものを変えてしまうイノベーションは「破壊的」とも言えます。 既存の市場を破壊することはリスクを伴うため、企業はマーケティングに重点を置きがちです。しかし、そうなると「中長期的にはイノベーションの力が弱まる」と和佐さんは指摘します。 「破壊的なイノベーションにより、マーケットは大きく変化します。成長するのはブルーオーシャン市場を生み出した企業で、一方、既存の市場は小さくなる。そのため、目の前の短期的な利益を求めているだけでは、市場や時代の変化を生き抜くことができません」