「管理職は多くの『言葉』を持たなければならない」アーチェリー山本博氏のチーム全員を輝かせる指導論
■ 組織には「個人競技向き」「団体競技向き」の両方が必要 ――「全員が勝者にはなれない」現実の中で、チームの一人一人にどのように価値を見出させていくべきでしょうか。 山本 実は、アーチェリーには個人競技でありながら団体競技の側面もあります。 例えば、全国大会にチームを代表して1人の選手が出場するとします。その場合は、その1人が全国大会で活躍できるよう、他のメンバーがサポート役に回ります。練習中に時間を計測する係、スマートフォンで動画を撮影する係などの役割を与えることによって、出場する選手と一緒に全国大会の大舞台で戦っているという実感を得ることができるんです。 私自身はチームを率いる立場からは離れてしばらく経ちますが、もし再びチームを率いる立場になったら、そのように一人一人が役割を理解し、実践できるチームを作っていきたいですね。 ――チーム作りにおいて、個人の適性を見極めるポイントはありますか。 山本 人は大きく、個人競技に向いている人、団体競技に向いている人に分かれます。どちらに適性があるかは、小学校の高学年になる手前くらいでほぼ出来上がっているそうです。 個人競技に向いているのは、基本的に人助けされなくても自分で何とかしようとする人。その代わり、結果と責任を全て自分で受け入れられる強さがある人です。 対して団体競技に向いているのは、自分が人のためにしたことも、自分の手柄のように感じられる人。つまり、自然と誰かを助けたいと思うことができ、誰かから助けられたことにも感謝できる人です。 講演などで経営者の方々にもよく話しているのですが、会社組織においても、個人競技向きと団体競技向きのそれぞれがバランスよく属することが理想だと思います。それぞれの特性を踏まえながら適材適所に配置できれば、すごく成長できる企業や組織がつくれるのではないでしょうか。
堀尾 大悟