なぜ学校側は説明会見を開かないのか…秀岳館サッカー部の男性コーチ暴行問題で今度は生徒投稿の動画が削除
理由を含めてあまりにも不自然に映る展開に、動画が公開された直後から「謝罪を強要されているのではないか」と勘繰る投稿もネット上で飛び交った。そうした状況もあったからか、削除理由を説明するツイートはこう続けられている。 「あくまでも今回の動画は自分達サッカー部員の有志が考え行動したことになります。また公式Instagram、Twitterはプロフィールに書いてある通り生徒で企画、運営を行っています。ご理解よろしくお願いします」 ネット上に投稿され、拡散された動画は完全には消去できない。未成年者の顔や名前がさらされ続ける状況はさまざまなリスクをはらむだけに、子どもたちを守るためにも、学校側は一刻も早く削除を含めたアクションを起こすべきだった。 しかし、実際には22日夕方の投稿から20時間近くが経過し、その間に動画の再生回数は100万回を超え、リツイート数も9000件に迫っていた。 削除が遅かった上に、その理由が「学校や監督、コーチに対して迷惑がかかる」となるのは釈然としない。 後ろ向きに立たせた部員に対して、感情に任せるかのように激しく暴行を加える動画がネット上で拡散されたのが20日の夕方。以来、学校側は公の場で説明を行っていない。 サッカー部が公式ホームページ上で、世間を騒がせている状況を謝罪しただけだ。 ただ、サッカー部の段原監督は23日に地元紙の取材に応じている。 熊本日日新聞の報道によれば、同監督は謝罪動画の存在を投稿直後に把握していた。しかし、暴力が日常茶飯事だとサッカー部が誹謗中傷されている状況に、事実とは異なると訴えた部員たちの思いを尊重して、当初は削除を求めなかったという。 さらに同紙は、23日の中川校長らとの協議を経て状況が一変したとも指摘。 校長補佐を務める同監督が「学校が対応に追われ、迷惑がかかっている」と部員に削除を求めたと報じている。このやり取りは公式ツイッター上の文言とも一致する。 謝罪動画の削除は子どもたちの未来を守るためではなく、校長を含めた学校側の体裁を保ち、負担減を優先させるための措置だったと受け取られてもおかしくない。矢面に立って説明責任を果たすべき大人が守られている本末転倒の状況は、教育の観点からも大きく逸脱しているのはないだろうか。