米スペースX宇宙船、6回目の打ち上げ実験 ブースターの空中キャッチは断念
(CNN) 米宇宙企業スペースXは19日、全長約121メートルの大型宇宙船「スターシップ」をテキサス州ブラウンズビル近郊にある同社の施設から打ち上げる実験を行った。当初の計画では、打ち上げに使ったロケットブースターを発射台のロボットアームでキャッチする計画だったが、条件が整わなかったためにキャッチは断念した。 【映像】スペースX、宇宙船「スターシップ」の試験飛行を実施 スターシップはロケットブースターの「スーパーヘビー」に載せて打ち上げられ、スペースXはその様子をX(旧ツイッター)でライブ中継した。 次期大統領に選出されたドナルド・トランプ氏は、スペースXのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)と共に現場で打ち上げを見守った。 米航空宇宙局(NASA)は、早ければ2026年に月面着陸を目指すアルテミス計画で、人類を再び月面に降り立たせる着陸機としてスターシップを使用する計画。 無人で行われた今回の打ち上げ実験の目的は、スーパーヘビーとスターシップを迅速に回収して再利用する方法を確立することにある。ロケットを迅速に再利用できれば、貨物や人の輸送にかかる時間とコストを大幅に削減できる。 10月13日に行われた5回目のスターシップ飛行実験では、スターシップを切り離した後にスーパーヘビー(全長71メートル)を発射台に戻し、スペースXが「チョップスティックス(箸)」と呼ぶ2本の巨大な金属でスーパーヘビーをはさんで空中でキャッチすることに成功していた。 19日の実験では、カウントダウンがゼロになった瞬間、スーパーヘビーの33基のエンジンが点火して上昇し、スターシップを宇宙へ打ち上げた。 燃料をほぼ使い果たしてスターシップを切り離すと、スーパーヘビーは反転して発射台への着陸を目指した。 しかし飛行実験チームは、着陸に適した条件が整っていないと判断。スーパーヘビーはテキサス州沖のメキシコ湾に着水した。 一方、宇宙船のスターシップは6基のエンジンを点火して、宇宙空間を上昇しながら惰性飛行に入った。約30分後、いったん停止させたエンジンを再点火して大気圏再突入に備えた。 スペースXによると、スターシップに搭載されたエンジン「ラプター」を宇宙空間で点火することに成功したのは初めてだった。 スターシップはインド洋に無事着水。前回までより困難な条件で大気圏に突入したにもかかわらず、無傷だった。 「この宇宙船が我々の計算を上回る能力を持っていることが分かった」とスペースXのエンジニアは評している。