「お皿におかずを」ネパール貧困、竹中さんが活動話す 三重・松阪のカフェで
孤児院運営などSNSで発信、支援募る
三重県松阪市本町でpieceピースcafe&storeを営む竹守みどりさん(39)=東黒部町=が16日、社会活動家の竹中俊さん(28)=大阪府八尾市=を迎えて、ネパールでの孤児院運営など子供の貧困についてのお話会を開催した。25人が訪れ、海外で子供たちのサポートに奮闘する竹中さんの話に聞き入った。
ネパールへの旅で運命的出会い
竹中さんは小学生からサッカーを始め、大学もサッカーで進学したが1年で挫折したのを機に、日本をヒッチハイクで回った。その後、世界も見てみたいと、安価で渡航できて情報の少ないネパールへ。訪れた旅をきっかけに同国で孤児院の運営に関わるようになった。現在は同院の運営だけでなく、卒業した子供たちの自立支援や、大阪で子ども食堂を応援、災害支援活動などの社会活動を行っている。 ネパールはインドと中国のチベット自治区に接する多民族国家で、約8割がヒンドゥー教徒。民族とカーストが複雑に絡み合い、世界で最も貧しい国の一つとされる。2015(平成27)年に首都・カトマンズで大地震があり、死者9千人以上、歴史的建造物の倒壊など家屋損壊90万棟以上の甚大な被害が出た。 竹中さんはその翌年、大学2年の夏に同地を訪れ、孤児院を経営する男性と知り合った。男性は一人で災害孤児ら約40人の面倒を見ていたが経営は破綻寸前。シャワーは雨水をためて利用し、食事もままならない状態だった。子供たちの皿には米だけでおかずは無し。しかし施設を訪れた竹中さんの皿にはたくさんのおかずが盛られた。子供たちは自分たちにおかずが無くても「お客さんが来てくれてうれしい」「喜んでくれたらそれで十分」という様子だったという。それを見て「お返ししたい。今度は僕が子供たちのお皿に、たくさんのおかずをのせたい」と、同施設を一緒に建て直していくことを決めた。
スーツケースにお菓子など詰めて
まずはこの状況を知ってもらおうと、SNSを通して出会った孤児たちに関する発信を毎日続けたことで、活動に共感する人や企業からサポートを得られ始めた。お金ができると文房具やサッカーボール、お菓子などをスーツケースに詰めてネパールへ出掛けた。 19(令和元)年には子供たちの皿におかずを盛ることができるようになった。学校に通わせることも可能に。施設は立ち退きを迫られることも多かったため、22(同4)年にカトマンズの郊外に家と土地を購入しリフォームして男子寮と女子寮とし、畑も作った。現在、行政を通して保護した5~18歳の男女27人が暮らす。また孤児院を卒業する子供たちが手に職を付けて自立できるように、専門学校への進学もサポートしている。ただストリートチルドレンやアウトカーストの子供たちを保護することは難しく、問題は複雑に絡む。家庭環境に恵まれない子供は日本にもいる。日々、葛藤しながらも自分にできることに目を向ける。
「家族と過ごす幸せ、食事のありがたさ」
竹中さんの活動は9年目を迎えた。「国内外を問わず、ご飯を食べられない子供がいるのがおかしい。家族と過ごす幸せ食事のありがたさ、当然の権利を尊重しているだけ」とし「今は僕の売り上げが中心だが、雇用体制をつくり、もっと多くの子供たちにご飯を届けたい」と話す。 竹守さんは開催について「日々悩みながらも社会活動する姿に共感し、多くの人に聞いてもらいたいと思いました」と話した。 お話会は来年1月5日に四日市市の近鉄百貨店でも開催される。