国の指示権拡大、改正自治法成立 非常時行使、「不当介入」懸念
大規模な災害などの非常時に自治体に対する国の指示権を拡大する改正地方自治法が19日、参院本会議で可決、成立した。政府は、コロナ禍の行政の混乱を踏まえ、迅速な対応をとれるよう備える狙いだと説明。行使の要件は曖昧さが残り、立憲民主党や共産党などは「自治体への国の不当な介入につながる」などと反対した。 国の指示権行使は、災害対策基本法など個別の法律に規定がある場合に限られていた。改正法は、想定外の事態であれば個別の法律に規定がなくても、国民の生命保護に必要な対策の実施を国が指示できるようにする。 国と地方の関係を「対等・協力」と定めた地方分権の原則は維持し、新設の指示権は非常時に限った特例とする。行使には全閣僚の同意が必要な閣議決定を経る。自治体からの事前の意見聴取は努力義務にとどめた。国会審議を通じ、指示が適切だったか検証するため、国会への事後報告を義務付ける修正が加わった。 野党側は乱用への歯止めとして自治体との事前協議や国会承認の義務化を求めたが、政府側は「特定の手続きを必ずとるのは難しい」などと説明した。