【ヴェネツィアより愛をこめて】3代目アストンマーティン・ヴァンキッシュ登場。魔改造V12ツインターボは最高出力835psで史上最強スペック!
V8PHEV案を白紙撤回。蘇るV12エンジン搭載のフラッグシップモデル
初代ヴァンキッシュは2001年に誕生。奇才イアン・カラムがデザインし、レーシングカーのみならず市販車でもその実力を示したモデルでした。搭載するエンジンはラグジュアリーGTに相応しく5.9L自然吸気V12エンジンを採用。聖地ニューポートパグネル最後の生産車としてその歴史に名を残す名車中の名車であります。 この記事の他の画像を見る 今回取り上げる新生ヴァンキッシュは3代目にあたるモデルです。ワールドプレミアは水の都ヴェネツィアのマリーナ。ローレンス・ストロール会長が指揮を執る現在のアストンマーティンは加速度的にイケイケ状態。ヴェネツィア国際映画祭に日程を合わせ著名人を招待しワールドプレミアを開催しました。 当日撮影が許されたのは、「Queer」のダニエル・クレイグ(トップ画像)、ブラピとダブル主演した「ウルフズ」のジョージ・クルーニーやミュージシャンたち。個人的には「Babygirl」のニコール・キッドマン、「Maria」のアンジェリーナ・ジョリーも見たかった感じ。ヴェネチア国際映画祭のスケジュールに合わなかったんでしょうかね。 ヴェネツィアといえば世界文化遺産登録のみならず、映画のロケ地としても有名です。007なら1963年制作のショーン・コネリーがボンド役の「ロシアより愛をこめて」(邦題)を筆頭に、「ムーンレイカー」や「カジノロワイヤル」のロケ地にもなっています。個人的にはエロい仮面を連想しますがシェイクスピアの戯曲「ヴェニスの商人」、「オセロ」の舞台であることも触れておきます。
新生ヴァンキッシュの年間生産台数は1000台未満。ローンチ時はインヴィテーションを受け取ったカスタマーだけに提供されるそうな。初見さんはお金積んでも買えないので、発注できても2026年以降の納車か? 現状で2030年までの排気ガス規制対応なのでオーダー入れて気長に待つしかないでしょう。車両価格はザックリ5000万円クラスなので相応の覚悟が必要です。 以下、車両のアウトラインを。V12エンジンは最高出力835ps、最大トルク1000Nmのスペック。新開発の高剛性シリンダーブロック、新型のターボチャージャーとともに燃料噴射量は10%アップでエンジンオイルはバルボリンが専用開発。プラットフォームはヴァンテージやDB12と共有部分はあるものの、かなり細かく手を入れた模様です。 ボディサイズはDB12と比較して、前輪軸を前方向に18mm移動し後輪トレッドを10mm拡大。全長は125㎜長くなり4850㎜となりましたが、空力特性上は安定方向に作用していると思います。ちなみに車重は1774kgですから1G状態のトラクションを得るには軽すぎず重すぎずという感じ。サスペンションはビルシュタイン製の電子制御。ヴァルキリーなど特別なミッドシップのハイパーカーを除けばヴァンキッシがラインナップの最上位。
車名の「Vanquish」を直訳すれば「征服する」、「打ち破る」という意味ですが、コレは日常的な言葉ではなく、叙情詩的に用いる中世の言葉に由来するそうな。イケオジが押さえておくべきトリビアですね。諸説文脈はあるもののフラッグシップモデルに相応しい新生ヴァンキッシ。 文中最後の画像は現F1チームドライバーのフェルナンド・アロンソ(左)とランス・ストロール(右)の両F1パイロットで締めくくっておきましょう。それではまた! Text:Seiichi Norishige
教重 誠一