年々早まる「ラン活」、新素材による多様化、6年間の思い出が「呪い」にも――令和のランドセル事情 #令和の親
販売のピークは5月と8月。大型化と軽量化、「異素材」での参入も進む
現在、ランドセル選びは「ラン活」と呼ばれ、子どもが“年中”の年齢(4、5歳頃)からリサーチを開始する熱心な親も増えている。 伊勢丹新宿店が毎年ゴールデンウィークに開催する「ランドセルフェスティバル」は、国内最大級のランドセルイベント。三越伊勢丹オリジナルモデルをはじめ、工房系、ファッションブランドとのコラボ商品まで、1000種類以上が展示される。フォトスポットが用意され、ワークショップも開催するなど、イベント性も高い。両親・祖父母と3世代で旅行を兼ね、北海道や九州など、遠方から来場する家族も少なくないという。下見の後、家族会議をして決める人が多いため、オンラインで事後購入できるようにQRコードを配布している。今年も大盛況で、期間中全国から来場者を集め、売り上げは前年の4割増しだった。 「『フェスティバルでこのメーカーのランドセルは扱いますか』など、年々問い合わせの数は増えており、その時期も早まっているという印象です。2月、3月に情報を集めはじめて、5月のフェスティバルか、8月の夏休みには決定される方が多いですね。5月と8月というピークは、業界全体の傾向です」 そう話すのは三越伊勢丹 婦人子供商品部バイヤーの田村和寛さん。
「常設の売り場でも、以前は素材について聞かれることが多かったのですが、今は『重量』です。教科書を教室に置いてくる『置き勉』が認められている学校もありますが、教科書のほかにもタブレット、図工の用具や体操服など、中身はやっぱり重くなるようです。とにかく軽くて、かつA4サイズが入るものを希望される方が多いですね。数年前まではレッドやキャメルが売れ筋でしたが、最近はジェンダーレス対応が進み、アースカラーやニュアンスカラーがよく出ます。本革にこだわる方もいらっしゃいますが、お手入れが楽な人工皮革が人気です」 現在の売れ筋は、A4サイズ1200g前後のランドセル。2000年頃まで主流はB5サイズで、1500gほどあったというから、かなり大型・軽量化が進んだことがわかる。1000gを切るものも登場したが、耐久性への不安から、人気は1200g前後で落ち着いている。