新たな「育成の星」を探せ…巨人の右腕、DeNA&オリックスの左腕に大注目!ソフトバンクの捕手も有望株
2005年にスタートした育成ドラフト。制度ができた当初は、参加する球団も指名される選手も少なかったが、成功例の増加とともに指名人数が増え、今年のドラフトでは54人が指名を受けている(※ソフトバンク育成1位の古川遼は入団辞退)。2024年は、福島蓮や柳川大晟(いずれも日本ハム)、尾田剛樹(中日)らが支配下に昇格して貴重な戦力となった。彼らに続く新たな“育成の星”になりうる有望株を探ってみたい。【西尾典文/野球ライター】 【写真を見る】今年の育成ドラフトは54人。ソフトバンクへの入団を“拒否”した古川投手は結論に至った理由をSNSで説明 ***
巨人の三軍戦で150キロ台後半の速球を見せた若手投手
セ・リーグで最も多く育成選手を抱えている巨人で楽しみな投手が、田村朋輝だ。酒田南時代から東北地方では評判の右腕で、当初は支配下指名でなければ、プロ入りしない方針だったが、ドラフト当日の会議中に翻意。2022年の育成ドラフト2位で指名された。 これまでの2年間で二軍戦の登板は1試合のみだが、三軍戦では球速が150キロ台後半までアップしたところを見せている。12月15日まで台湾で開催されたウインターリーグでは「NPBホワイト」のメンバーとして出場。9試合、13回を投げて3失点、17奪三振、防御率1.38と好成績を残した。 少し力任せなところはある一方で、ボールの勢いは一軍の投手陣と比べても引けをとらず、コントロールも安定してきた。キャンプとオープン戦で結果を残せば、支配下に昇格する可能性が高い。
DeNA投手陣の底上げ要員として期待される“大型左腕”
セ・リーグで注目したい左腕が、庄司陽斗(DeNA)だ。青森大学出身で、2023年の育成ドラフト4位。ルーキーイヤーから、いきなり二軍のローテーションに定着すると、イースタン・リーグ2位となる8勝、防御率2.35と見事な成績を残した。さらにファーム日本選手権では、6回無失点の好投でMVPに輝いている。 DeNAの関係者は、庄司を以下のように評価している。 「大学時代は怪我に悩まされ、本格的に調子が良くなったのが、4年秋からなんですよ。もう少し早い段階で出てきたら、育成では獲得できなかったと思います。そういう意味では、うちの球団にとってはラッキーでしたね。大型左腕ですけど、変化球を投げる感覚が凄く良い。チェンジアップは腕を振っても、相手打者にボールがなかなか届かないですし、カーブは落差が大きいです。ストレートの力が出てくれば、もっとピッチングが良くなると思います」 DeNAの投手陣は、エースで左腕の東克樹は安定しているが、それ以外の先発左腕は、ケイぐらいしか結果(6勝9敗、防御率3.42)を残していない。投手陣の底上げは必要不可欠であり、庄司が支配下で登録される可能性も出てきた。 一方、セ・リーグの野手では、内野手の前川誠太(広島)を挙げたい。敦賀気比時代は、1年夏、3年春夏と3度も甲子園に出場し、2021年の育成ドラフト2位で入団した。最初の2年間は、二軍で成績を残すことはできなかったが、3年目の2024年は64試合に出場し、3本塁打、打率.277をマークしている。 特筆すべきは、三振の少なさだ。三振は173打席で、わずか16三振。出塁率.351、長打率.405という数字も見事だ。このオフは入団から3年が経過したため、一度自由契約となり、再び育成契約を結んだ。守備には課題を残しているが、チームは得点力不足に苦しんでいる。“打てる二遊間候補”として、2025年は、さらなるアピールで支配下昇格を目指したい。