藤井聡太七冠 23歳迎える今年、タイトル再独占へ“実力改善”「少しでも高めていけるように」
将棋の藤井聡太七冠(22=竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖)がこのほどデイリースポーツなどの取材に応じ、初となる八大タイトル戦の全てが防衛戦となった2024年を総括した。八冠で始まった1年。最終的には叡王を失ったものの七冠を守って迎える25年。再び目指すタイトル独占への思いを語った。 考え込みながら、時折笑顔も見せて答えを口にした。24年は八大タイトル戦の全てが防衛戦となった1年。「叡王戦で失冠するなど、結果の面では振るわなかった。全体として振り返ってみると、波が出てしまった。波をできるだけ小さくすることを意識したい」と24年を振り返った。 藤井七冠には珍しく「結果」を悔やむ言葉だった。「結果が振るわないという表現をしたけど、それは決してたまたま結果が振るわなかったわけではなく、やはり内容的にもよくはなかった」。24年は全八冠維持が期待されたが、叡王戦では伊藤匠七段(22)にタイトルを譲る形となり、七冠に後退。同い年のライバルによって、これまで出場した5番勝負や7番勝負でのタイトル連続獲得の歴代最多記録は22連覇で止められた。 プロ入り後は持将棋を挟んで11連勝などと圧倒していた相手だった。ただ、藤井七冠の中には6月の叡王戦で負ける前に、持将棋となった2月の棋王戦の第1局こそ印象的な対局だったという。「私はこれまで(公式戦で)持将棋を経験したことがなくて、その時に初めてだった。伊藤さんは、持将棋になることも含めて研究をされていた」。人一倍、研究熱心で“打倒藤井”の勝ち筋を探求し続けた伊藤との戦いを思い返した。 ライバルたちに研究されていることを感じるか、と問われた藤井七冠は「大きく何か違ったようには感じていない」と実感を口にし「全体として序盤から戦型が多様化してきている。私自身がその経験不足や理解不足と感じたことも少なからずあった。全体的な判断の力は高めていきたい」と課題を見つめた。 棋士のピークは「25歳くらい」という持論もある藤井七冠。「そのあたりがピークかそれに近い形になるというのは変わらず思っている」と言い切り「25歳に近づいてきている。普段からしっかりと取り組んで少しでも実力を高めていけるようにしたい」。年齢的な観点からも考えを巡らせている。 今年、23歳を迎える。同い年の多くは社会人となる年齢。最年少棋士記録を更新する14歳2カ月でプロ入りし、高校も中退した藤井七冠は「同級生は大学4年生で4月から就職とかになるかと思う。他の世界のことはなかなか直接に経験できない。同級生の違う世界での活躍から刺激を受けることができればいいな」と同級生の活躍に期待を寄せ、力に変えていく。 今年は叡王奪還が一つの焦点となる。「今の時点で具体的な目標として、意識をしているということではない」とした上で、「私自身の実力不足を感じるところがあったので、それを改善した先に見えてくるもの」と宣言。冷静に再び八冠の座を狙う。