川勝平太・静岡県知事に聞く(全文2)東京は蟻地獄「ポスト東京時代」を発信
「ポスト東京時代」情報発信のため、大学と協定
そうなんですよ。今、うちは、市長さんがこの人は沼津出身だ、この人は湖西出身だと戻ってこられて、それで東大とか一橋大を出ている。沼津あるいは湖西の有名な高校出て、立派な大学で東京に来て、一旗揚げて、公共のために役立とう、と。ところが何も知らない。それはそうでしょう。家と高等学校とクラブ、高校3年生ぐらいだったら大学受験、忙しいですよ。 ですから、どんな企業があるとか、どんな産業があるとか、どんな可能性があるかと、そんな情報が全然ないわけです。知らないまま東京に来て、いよいよ就職しなくちゃいけない、といったときに、情報があるのは東京じゃないですか。結局、一番身近な、自分たちの先輩がしてきたやり方をまねて、間違った人生を歩み出す。要するに、選択肢が狭い人生になりますよ。 じゃ、「ポスト東京時代」にいかにして、青年たちにどんな情報を差し上げればいいか。例えば、福井のあなたの高校からだと、金沢大学に行っている人が多いというふうであれば、そうすると金沢に。神奈川大学だとか、あるいは東京に幾つも大学がありますし、関西にも、名古屋にもあります。 そういう大学でうちの学生が一番よく行っているところと協定を結びました。その協定というのは、大学は静岡からもっと学生を集めたいわけで、私たちは、その学生に、静岡の情報を満遍なくずっと4年間、出し続ける。 しかし、例えば、就職部に来た福井出身とか、北海道出身の方が見るでしょう。そうすると、「雪がないんだわ、信じられない」。北海道も福井も冬になると雪に閉ざされる。うちは、雪は富士山の上で見るもの。富士山に積もった雪、きれいな富士山を見るもので、大体冬というのは、イチゴを頬張ったり、ミカンを食べたり、おいしいお茶を飲んだり。 イチゴ大福なんて、大福餅でイチゴが中に入っている。むちゃくちゃうまい。そういうのを頬張って、おいしいお茶、酒もうまいし、そういうところなんだ、と思ったら、行ってみようとなる。そうすると、Iターンになったり、Jターンになったり、そういう情報を出すことによって、若い青年たちが誤って“蟻地獄”に入り込まないようにしなくちゃいけない。ということで、鬼頭先生らの助言もあって、15校と協定を結びました。 【メモ】 ・大学等との就職支援協定……大学生等のUIJターン就職促進、静岡県内企業の人材を確保するため、大学等と就職支援協定を締結。立命館大、専修大など15校に企業情報の提供や各種イベントの周知などを行っている。 ※川勝平太・静岡県知事に聞く(全文3完)に続く