フィリピンの刑務所から「脱出したい」、日本人逃亡犯が語る「獄中生活」の実態
●フィリピンでは「別名」を名乗っていた
フィリピンでは戸籍を購入することが可能で、男は名前を変えて生活を始めた。現地の日本人からは「ヒロくん」などと呼ばれていた。しかし、その多くが男の犯罪歴を知らなかった。 フィリピン在住のある日本人男性はこう語る。「ヒロくんとは、たまに酒を飲む関係です。タガログ語も少し話せるので、現地生活が長いのかなとは思っていました。私の中では普通の人という認識です。ただ・・・」 少し間をおいて、男の性癖について語り始めた。 「ヒロくんはフィリピン女性の買春もしてましたが、相手は決まって未成年のような若い女性ばかりでした。危ない人だなとは思っていました。でもまさか日本で犯罪を犯して逃げている人だとは・・・びっくりです」
●日本の警察当局の"強い意思"があった?
男は現地の警察に逮捕された。最初は不法滞在だったが、フィリピンに長く住む日本人はこう話す。 「最初に捕まえたのは、制服を着た地元の警察だと聞いていますが、地元の警察は金を払えば見逃してもらえると思います。彼はフィリピンで違法の疑いがある投資の仕事をしていたと聞いていますから、タガログ語を使って交渉することもできたはずです」 では、なぜ捕まったのだろうか。可能性として考えられるのは、日本の警察の"強い意志"だ。逮捕の一報が何らかのかたちで、日本の警察当局の耳に入り、当局が男の拘束を強く要請したのではないだろうか。 複数の関係者に取材すると、男は日本とフィリピンにつながりを持つエージェントに何十万円という金を払っていた。エージェントはフィリピンの警察幹部と懇意で、万が一逮捕されても国外退去にならない「お守り」を授けていたというのだ。 実際、男は逮捕されたときに警察署で「オレは警察の幹部を知っている。幹部と連絡を取ってくれ!」と何度も訴えていたそうだ。あまりにも強く訴えるので、逆に逮捕情報が日本の当局関係者にまで回ったのではないか。 自分を守るための必死の行為で墓穴を掘ったのではないかと、筆者は推測する。