歴史上、10数年だけ存在した幻の焼物 「臼杵焼」の制作の一端を体験する 【大分県の文化を身体で感じる旅】
源泉数、湧出量が日本一の温泉県として知られる大分県。県内のほぼすべてにあたる16市町村で温泉が湧き出るため、そこかしこで湯煙が立ち上る旅情にあふれた風景に出会うことができます。 【画像】「ギャラリー皿山」では、臼杵焼の器の購入もできる。 温泉も最高ですが、それ以外にも大分には魅力がたくさん。美食、民藝、歴史……温泉だけで帰るには勿体ないスポットが数多く存在しています。 その中でも今回は、温泉と併せて行きたい体験型スポットに注目。大分の歴史や文化を身体で感じることのできる施設を紹介します。
焼き物の産地として注目の臼杵市
国宝の臼杵石仏で有名な臼杵市。実は近年、焼き物の産地としても注目を集めています。その名も臼杵焼き。洗練されたデザインや無地でマットな素材感が現代の暮らしにもぴったりな器です。聞けば、江戸時代後期に同市内の末広エリアで作られ、地元では末広焼と呼ばれていた焼き物がルーツになっているそう。 末広焼きは、臼杵藩が九州各地の窯場から職人を呼び寄せ、藩営の窯場を開いて製造したものの長くは続かず、十数年という短期間で生産は終了。長らく途絶えた状態が続いていました。
美しい器を生み出すモダンなアトリエ
いわば幻の焼き物となっていた末広焼ですが、今からおよそ8年前に、大阪で陶芸を学んだ宇佐美裕之さんが帰郷し、知人の陶芸家とともに復興プロジェクトを立ち上げ、臼杵焼と名前を変え、地元で制作を始めました。 こうした歴史をもつ臼杵焼の制作の一端を体験できるアトリエが「うすき皿山」です。
初心者でも気軽に作陶できる体験コースも
宇佐美さんが運営するこのアトリエで体験できるのは「本格型打ち体験」、「選べる豆皿型打ち体験」、「臼杵焼金継ぎ体験」の3つ。中でも陶芸初心者にオススメなのが「選べる豆皿型打ち体験」です。
少しずつ形になっていく喜び
型打ちとは簡単に言えば、生乾きの生素地(粘土)をのし棒を使って平らにして型にのせ、上から手で叩いたりヘラで整えたりして型と同じ形に成形する作業です。最後に周囲の余計な部分を削り落としたら完成です。 豆皿の型は10種類以上の中から好きなものを1つ選ぶことができます。