最善か無か……中間か メルセデス・ベンツ 新型Eクラスが日本上陸
いずれのクルマも昔のメルセデス・ベンツのような骨太さや圧倒的質量感はないが、そんなものを21世紀に望むのはわがままだし、日常生活に使う、普通に良いクルマという観点からすればこれはかなりの完成度を持っているのではないかと思われる。まあどちらも1200万円を超えるクルマだから、良くなくっちゃ困るのだが……。
だがその一方でどうにも困ったのは室内アメニティーの数々で、両車とも多くの装備がオプションでくわえられていることもあり、不規則にマッサージが始まったり、音楽に合わせてMD4Xの映画館のようにシートが振動したり、目の前の巨大なスクリーンに環境映像が映ったり、室内に煌びやかなLEDが点灯したり、パフューマーからどうにも馴染めない香りが漂ったりする。
この状態のままで自動車の本質などをインプレッションするような器用さは持っていないため、すべてのアメニティーをオフにしようと苦心惨憺したのだが、タッチパネルを駆使して行う操作がどうにも階層が深く、いつの間にか初期画面にもどってしまったりの繰り返しでいつまでたってもオフにすることができない。
メルセデス・ベンツご自慢の音声認識に「マッサージオフにして」とか恥ずかしさをこらえてお願いしてみたものの「その操作はできません」などとにべもなく断られてしまい、「なんでオフにできないんだ、コラ」と悪態をつく始末。こんながらっぱちな発言を試乗会でしたくはなかったが、事実なのだから仕方がない。結局いくつかのアメニティーはオフにできないまま試乗を終えた。
車中でウエブ会議も自撮りさえもできるシステムや、数えきれないほどのモードを持った環境システムなど、試乗はおろか数年所有したとしても使い切る自信はない。そして本来メルセデスベンツEクラスを購入するであろう年齢層の方々が、この複雑な操作系を使い切ることができるのか、いささか心配ではある。
E200とE220 dを試乗した時点での結論としては、W213 と比較して、感動するほどの進化はないが、着実に改良されておりEクラスとして間違えのない方向性のモデルチェンジであると思えた。