およそ10年後に地下鉄の「新駅」ができる街。現在の姿はどんな感じ?有楽町線の新駅2つの予定地に行ってみた
長らく江東区民の「悲願」だった地下鉄の延伸がとうとう動き出した。 11月5日、東京メトロが有楽町線延伸(豊洲・住吉間)及び南北線延伸(品川・白金高輪間)の工事に着手したことを発表。2030年代半ばの開業を目指す。 【写真10枚】2030年代半ばに新駅ができる江東区千石、枝川両地区の現在の街並みはこんな感じ 建設工事区間は有楽町線が4.8km、南北線が2.5kmとなっている。建築費用総額は両路線合わせて約4000億円で、2008年の副都心線開業以来の大型プロジェクトということがわかる。 ■江東区民にとっては50年越しの悲願
とりわけ事業規模の大きい有楽町線の延伸は、1972年の計画開始当初から江東区民の切実な願いだった。 人口約54万人を擁する江東区には東京メトロ東西線、半蔵門線、有楽町線、都営新宿線、大江戸線、東京臨海高速鉄道りんかい線、ゆりかもめ、JR総武線、京葉線、東武亀戸線の10路線が乗り入れ、28の鉄道駅がすでにある。 【写真10枚】2030年代半ばに新駅ができる千石、枝川両地区の現在の街並み ただ、江東区の鉄道路線はほとんどが都心に繋がる東西方向の路線だ。そのため、区内を鉄道で南北に移動するには大きく迂回する必要があり、不便だった。
豊洲駅~東陽町駅~住吉駅間を南北に結ぶ今回の有楽町線延伸は、区内の南北移動の利便性が劇的に向上するものとして、区民からの期待は大きい。 ■豊洲駅と住吉駅にはすでに乗り入れ可能な構造 江東区の資料によると、新線は「1時間あたり日中で約8本、朝のピーク時で約12本」「本数は未定も、豊洲駅から都心・和光市方面へ直通列車を設定」「半蔵門線との乗り入れは未定(住吉駅が始発駅になる可能性大)」だという。 また、この有楽町新線の開業を見越し、すでに豊洲駅と住吉駅は新線が乗り入れ可能な構造になっている。
延伸に伴い、江東区内に「千石駅(仮称)」「枝川駅(仮称)」という2つの新駅の設置が予定されている。 今まさにそれらの新駅の出入口用地の公募が行われている段階だ。 ■2つの新駅予定地の現在の姿 まず枝川駅は現在は閑静な住宅街と工場、倉庫などが共存する水辺の街。東陽町と豊洲のちょうど中間に位置しているが、JR京葉線の潮見駅といった現在の最寄りの鉄道駅からはいずれもやや距離があるため、今回の新線開業によって活性化が期待される。
次に千石駅は住吉駅と東陽町駅のちょうど中間地点に設置される予定で、付近には遊歩道や親水公園が多くある穏やかなエリアだ。こちらも現在は鉄道駅からはやや距離がありチェーン店などは少ないため、今後の開発が期待される。 ■新線と重複する「都営バスのドル箱路線」が危機 一方で懸念されるのが、新線のルートと重なる都営バス路線の行方だ。 後編ー年収11億「都バスのドル箱路線」地下鉄開通で窮地では年間収入11億円をたたき出す「都バスのドル箱路線」の実態と、新線開業の影響について解説する。
宮武 和多哉 :ライター