存在感が薄い「立憲・野田氏」が「国民・玉木氏」から主導権を奪う方法 企業・団体献金廃止と“もうひとつ”の意外な秘策 古賀茂明
永田町では、国民民主党と自民党・公明党との経済対策についての協議が進み、国民民主が求めていたいわゆる「103万円の壁」について、具体的な数字はないものの、「税制改正の中で議論し、引き上げる」と明記することになった。ガソリン減税について、「自動車関係諸税全体の見直しに向けて検討し、結論を得る」とすることでも合意した。国民民主が求めていたいわゆる「トリガー条項復活」による「暫定税率廃止」も検討対象に含むとされているので、国民民主の二つの大きな要求について、自公側が実質的な譲歩をしたことになる。 【写真】「次のキングメーカー」になりたい人たちはこちら この合意には、補正予算を早期成立させることも明記されたので、石破茂政権は、11月28日に召集される臨時国会で2024年度補正予算を成立させることができることがほぼ確実となった。臨時国会最大の山場を乗り切る道筋が見えたわけだ。 今回、国民民主の協力により補正予算が通ることになれば、来年の通常国会でも、国民民主との間でうまく取引すれば、25年度当初予算も成立させられると、石破首相は期待を膨らませていることだろう。 国民民主も、自公政権から大きな譲歩を引き出し、衆議院選挙で有権者に約束した二つの政策を完全ではないものの、選挙後わずか2カ月で前に進めるという結果を出したことで、今後の政局の鍵を握る最重要プレイヤーとしての地位を確立したと言って良い。国民民主の支持者は拍手喝采というところだろう。 また、今回の合意は、同党の玉木雄一郎代表の不倫スキャンダルから有権者の注意をそらし、大きくダウンした同党のイメージを回復するのに貢献することも確実だ。 すでに出ているいくつかの世論調査で、急激に上昇している同党の支持率はさらに上がり、野党の中ではダントツの存在感を持つことになりそうだ。 一方、玉木代表を中心とした国民民主の「大活躍」と比較して、ほとんどマスコミから忘れられた感の強い立憲民主党の野田佳彦代表は何をしているのだろう。 国民民主は、衆議院選で議席数を4倍に増やしたが、絶対数はわずか28議席に過ぎない。伸び率で見れば、これに劣るとはいえ、立憲・無所属会派の議席数は148で、絶対数では国民民主の5倍を超える。衆議院の予算委員長ポストも確保し、自公政権に対して、非常に大きな影響力を行使できるはずだ。それだけでなく、自公政権とともに国政を運営する上で大きな責任も担っていると言って良いだろう。 野田代表は、首相経験者でもあり、玉木代表とは格が違う。安倍晋三氏以降の歴代首相が自民1強で野党の意見など全く聞く耳を持たなかったのと違い、少数与党という弱い立場にあり、また、元々誠実な政治姿勢で知られる石破首相との間で、誠意を持って協議をすれば、国民のためになる多くの政策変更を勝ち取ることができるのではないだろうか。