存在感が薄い「立憲・野田氏」が「国民・玉木氏」から主導権を奪う方法 企業・団体献金廃止と“もうひとつ”の意外な秘策 古賀茂明
■「国民民主」は金をくれる団体のために動く政党 そのために、まず、野田代表が玉木代表に直接会談を呼びかけ、その場で企業・団体献金廃止の法案の共同提出にイエスと言ってくれと表から協力を求めれば良い。玉木代表は、表では、「企業・団体献金が悪で、個人献金が善という立場ではない」とか「与野党が合意すれば廃止に賛成する」などと曖昧な態度をとっているが、実は本音では反対だろう。なぜなら、国民民主の支持基盤は自動車総連、電機連合、電力総連といった民間労組で、組織内候補の議員も抱えているからだ。しかも、支持母体の労組の多くは大企業の組合が中心で、これらの大企業が困る政策には反対せざるを得ない。結果として、国民民主もこれらの大企業のために動くということになっている。 つまり、国民民主は、金をくれる団体のために動く政党だという意味で、自民党と同じ性質の政党だということがわかるが、そんなことは、多くの国民は知らない。 表舞台で野田代表から企業・団体献金廃止の法案の共同提出を求められれば、玉木代表は答えに窮するだろう。断れば、自分たちの本性を晒して世論を敵に回すことになり、来夏の参議院選で負ける可能性がある。 玉木代表にイエスと言わせることができてもできなくても、政治資金改革で立憲が主導権を握れる。もし玉木代表がイエスと言えなければ、声高に玉木批判を展開できる。これによって国民民主支持層を立憲支持に取り込むことができるだろう。 「政治資金改革なら立憲にお任せください」とPRし、「改革ブランド」を取り戻すのだ もちろん、自民に対しても、世論の声をバックにして、企業・団体献金廃止で攻勢をかける。 石破首相は、ここで何らかの譲歩を示す可能性があると私は見ている。だからこそ、与野党協議の対象にすることを拒否していないのだ。協議してゼロ回答なら、世論をわざわざ怒らせることになる。そんなばかなことはしないはずだ。 ただし、自民党内では、これに反対する声が圧倒的に多い。これが原因で党内対立が激化する可能性があり、それが与野党を超えた政界再編につながる可能性については、前述の本コラムで指摘したとおりだ。 一方、政治資金改革だけで立憲が来夏までの政局の主導権を維持するのは難しいかもしれない。そこで、これ以外で野田代表が石破首相に提起すべきテーマを探してみよう。それを選ぶ基準は二つある。 第1に、石破首相が自民の反対を押し切って立憲の提案に乗る可能性があること、第2に、国民民主が賛成しにくく、それが炙り出されることで国民民主が有権者の失望を買う可能性が高いこと、 である。 そんなものがあるのかと思うかもしれないが、実は、確かに存在する。