2024スーパーフォーミュラ富士公式テスト　山下健太（KONDO RACING）

　7月7日、富士スピードウェイで始まった全日本スーパーフォーミュラ選手権のインシーズンテスト。走行初日は牧野任祐（DOCOMO TEAM DANDELION RACING）がセッション1、セッション2ともに最速タイムをマークし、好調ぶりを見せつけた。 【写真】スーパーフォーミュラ車両で初めて富士スピードウェイを走行したJuju（TGM Grand Prix） 　猛暑となったこの日、牧野は午前中のセッションは1分23秒703というベストタイムをマークし、2番手の坪井翔（VANTELIN TEAM TOM’S）に対して0.373秒という、富士においては小さくないギャップを築いた。午後は山下健太（KONDO RACING）に肉薄を許したものの、3番手のチームメイト・太田格之進に対してはやはりコンマ3秒という差をつけており、終盤にほとんどの車両が予選シミュレーションを行ったことを考えると、現時点での良好なポテンシャルを持つ1台であることは間違いなさそうだ。 「細かいところの突き詰めをしていって、次の富士（のレース）に向けて『引き出しが増えたらいいな』という感じで、正直、今回はめっちゃ大きい変更はしていません」と牧野。そのコメントからは、余裕も感じられる。 　DOCOMO TEAM DANDELION RACINGは昨年、この富士のインシーズンテストで現行シャシーSF23のセットアップの最適解をつかみ、以降好調を維持。昨年最終戦では太田が優勝を飾り、今季第2戦では牧野もついに初優勝をつかんだ。その波は、真夏の富士でも続いている。 「昨年のここのテストと比べると、やっていることの“度合い”は小さめですが、やっている部分の“箇所”の数は結構多いと思います」と一年前との違いを指摘する牧野。「結構細かく突き詰められているので、いまのところはいいテストになっているかなと思います」とポジティブだ。 　今年、共通ダンパーが採用された車両では初めての富士での走行となったが、その部分でも違和感は少ないようだ。 「去年の富士が調子良かったので、その状態とは規則が変わって（共通ダンパーになって）起きたことは違う部分もあるのですが、そのなかでも今年の（ここまで）良くなかった点を感じたり……そのあたりも細かくいろいろとテストできていると思います」 　テスト2日目に向けては、セットアップ面で「ひとつ大きな作業入れる」が、その部分の良し悪しの判断を下すこと以外は、引き続きディテール部分の詰めに終始する予定だという。 　牧野によれば、太田車とはメニューの分担などはせず、それぞれにセットアップを突き詰めた結果の上位ということで、現時点では夏場に向けてチームとしても戦える準備は万端、といったように見えたテスト初日だった。 　その牧野に、午後のセッションで0.058秒差と肉薄したのが山下だった。 　今季は開幕戦から表彰台に登っただけでなく、予選・決勝ともにここまでの3戦で一桁順位をキープしているが、このテスト初日にはさらにパフォーマンスの飛躍があったようだ。 「だいぶ良くなりました」 　夕方、メディアミックスゾーンに姿を現した山下は、安堵の表情とともに第一声を発した。 「やっぱりスーパーフォーミュラは走行時間も少ないですし、環境（コンディション）もよく変わるので、シーズン中に方向性はなんとなくは見えていたところがあるのですが、それが正しいのか、正しくないのかが分かりませんでした。その部分を今日は結構“行ったり来たり”して、しっかりと見ることができたと思います」 　山下いわく、陣営としては昨年のこのテストで「上げ幅がなかった」。貴重なインシーズンテスト、しかもライバル勢には昨年このテストを機に調子を上げた陣営もあったことから、今年の富士テストに向けては周到に準備をしてきたという。 「昨年のテストでそこまで上げ幅がなかったので、エアロだったり、メカニカルだったり（のメニュー）をいろいろと準備してもらって、やりたいことをやらせてもらって、そのおかげでいいものが見つかったという感じはします」と山下は満足げにテスト初日を振り返る。 「明らかにバランスは改善しています。冬のテストからやってきて、夏に暑くなって『こういうところが直せたらいいな』という部分がずっとありましたが、そこはだいぶ良くなりつつありますし、このままもう少し突き詰められることができれば、結構いいのではないかと……（シーズン終盤に）寒い時期になっても、ワンステップ速く走れるのではないか、という期待はしています」 [オートスポーツweb 2024年07月07日]