「2人分のバターをすべて自分のパンに塗る夫」を見る妻の目…10年前の事件の進展は!?【作者に聞く】
“夫”という生き物は、なぜ余計なひと言を言ってしまうのだろうか?「君は気にしなくていい」と言うのなら、いちいち言わなくていいのに…と妻は心でつぶやいていた。目の前の夫は「朝食で出している2人分のトーストとバター…そのバターをすべて自分のトーストに塗ってしまう男」だった。2人の夫婦関係は破綻寸前、いやもう破綻していたのかもしれない。10年前のあの日、4歳だった娘が行方不明になった日から――。 【最新話まで一挙公開】犯人を予想する漫画『仮門』を読む SNSで連載中の話題の漫画「犯人を予想する漫画『仮門』」は、10年前に起こった女児失踪事件を読者とともに追っていく漫画である。 第1話では、不気味な行動を取る父親の姿が描かれ、第2話では母親の友人・杏美が登場する。そして第3話では、行方不明になった娘の幼なじみで現在14歳の砂羽と圭樹に焦点が当てられる。当時4歳だった2人は事件に関係ないように思えるが、意味ありげな発言をする砂羽が気になる。 そして本日2024年7月25日に、最新話である第4話が配信された。第4話では新キャラも登場。話が進行していくにつれ、誰もが腹に一物抱えたような表情を浮かべ、読者は各登場人物たちに疑念を深めていく…!!本作を描いているのは、鳩ヶ森(@hatogamori)さん。2023年2月に「第2回 朝日ホラーコミック大賞」の漫画部門で大賞を受賞した新進気鋭の漫画家である。鳩ヶ森さんに配信されたばかりの最新話について話を伺ってみた。 ――細かい点ですが、“夫”の描き方が秀逸ですね!世の男性すべてがそうではないと思いますが、共感する人が多そうなエピソードが盛り込まれていて思わずうなりました! 少し前にSNS上で話題になった“食いつくし系夫”から着想を得ました。「家族4人分の餃子を焼いたら子どもの分も含めほとんどたいらげてしまった」「食いつくされないように冷蔵庫に鍵をかけたら破壊しようとした」など、にわかには信じられないエピソードがたくさん報告されていて、もはやこれは現代の妖怪譚なんじゃないか、いつか漫画に描けたらいいなと企んでいたものです。 ――“2人分のバターを平気で使い切ってしまう”などのエピソードはそこから着想を得たんですね! 本作「仮門」に登場する“夫”は食いつくし系ではなく単に「気が利かない男」ですが、根は同じだと思っています。つまりは「妻の食べ物」に意識が向かない男です。妻も自分と同じように腹が空くし食べる人間なのだ、という当たり前の前提が脳から抜け落ちている。こういうタイプの男性を描こうとしたときに頭に浮かんだのが“朝食のバター”でした。 ――第4話では新たなキャラが登場しますが、これで役者は全員そろったのでしょうか? あともうひとり、未登場のキャラクターがいます。麻衣の過去に関わる人物です。その人物を登場させてから、ストーリーは解決編に向かいます。解決編に移行する前に、犯人を推理してみてくださいね。 最新話である第4話では新たなキャラが登場し、盛り上がりを見せてきた本作。それぞれの登場人物の動きや心情を注意深く観察し、犯人や動機を予想してみよう。女児失踪事件から10年の歳月が流れた今、これから何かが動きだしていく――!! また、鳩ヶ森さんはほかにも読み応えある作品を多数輩出している。「呪いは効くのでしょうか」や「春の夜の友人」などの過去作もぜひ読んでみてほしい。 取材協力:鳩ヶ森(@hatogamori)