戦火免れ昭和初期の建築様式伝える県教育会館、保存かなわず来年9月解体へ マンション分譲手掛ける県外企業へ売却
鹿児島市山下町に昭和初期に建てられた鉄筋コンクリート建築物「鹿児島県教育会館」を所有する県教育会館維持財団は29日、会館と敷地の売買契約を新築マンション分譲などを手がけるフージャースコーポレーション(東京都)と結んだと明らかにした。2025年8月に引き渡し、翌9月から解体される見込み。 同財団などによると、会館は1931年完成で地下1階地上3階建て。中央公園に隣接している。戦時中に空襲で焼け野原となった鹿児島市街地では、戦前の建築様式を伝える貴重な建物となっている一方で、老朽化が進んでいた。会館と敷地は4億円、駐車場として使われている城山町の土地と合わせて計7億円以上で売却予定だった。 財団は当初、「貴重な建築物で街のシンボル」として、維持活用を条件に売却先を探したが見つからず、解体前提の売却に変更していた。原園正敏常務理事(61)は「建物を残す最大限の努力をしたがやむを得なかった。市民に喜ばれる事業展開をしてほしい」と話した。現会館に入る県教職員組合など7団体は、下竜尾町に建設中の新会館に来年移転する。
南日本新聞 | 鹿児島
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