“グラスを下げる”のは本当にマナー!?謎のマナーでマウントを取り合う社畜リーマンに苦笑【作者に聞く】
年末年始は何かと“乾杯”をする機会が多いのではないだろうか?そんな中、“目上の人よりグラスを下にする”というマナーを実践していて身に染み付いているサラリーマンも多いのでは?果たしてそのマナーは、本当に正しいマナーなのだろうか? 【漫画】乾杯時の謎マナーとは? 社畜サラリーマンが主役の4コマ漫画「目指せ!日本一の社畜!?ぬこリーマン」の中の1エピソードに、取引先との飲み会のシーンが描かれている。全員の手元にビールがそろい、「いざカンパイ」と宴の幕があがるかと思いきや、このあと、冒頭に書いた“謎マナー”を巡ってのすったもんだが巻き起こるのだった。 「目上の人よりグラスの高さを下げる」という乾杯時のルールについては、本当に正しいマナーかどうかはさておき、とりあえず実践している人も多い。一部では、さらに「両手を添える」や「片手はグラスの下に添える」などの追加マナーも存在するとか。 この漫画を描いたまくべす(@maxvess3)さんは、Web広告関係の仕事をしながら、作品を執筆・公開している。妙にリアルな社畜ネタも登場する本作だが、サラリーマンである自身の経験も反映されているのだろうか?キャラ設定や舞台設定、今回の“乾杯時の謎マナー”についてなど、まくべすさんに話を伺ってみた。 ――「目指せ!日本一の社畜!?ぬこリーマン」の主役は猫の姿をしたサラリーマンなんですよね。通称「ぬこリーマン」とはどんなキャラですか? ぬこリーマンは、社畜サラリーマンです。ロスジェネ世代で、はっきりとした年齢は決めていませんが、アラフォーです。年齢的には管理職になってもいい年ごろですが、平社員という設定です。 ――がむしゃらに社畜根性で仕事を頑張っているぬこリーマンですが、悲しいことに平社員なんですね…。 はい。ぬこリーマンは、あまり仕事はできないもののガッツで乗り越えているタイプです。でも、ときには心が折れてくじけることもある…そんなどこにでもいそうな、いたって普通のサラリーマンなんです。自分の境遇と重ね合わせてキャラクタライズしました。 ――“自分の境遇と重ねて”ということは、今回のエピソードの乾杯時の謎マナーも、まくべすさん自身、実践しているマナーでしょうか? 私自身も、社会人になって取引先との会食でこのマナーに直面しました。「そこまでする必要ある?」という思いはあるものの、なんとなく意識してしまっています。漫画のような例は、さすがにオーバーではありますが…。 乾杯のマナーについて調べてみたところ、そもそも乾杯の際に杯をぶつけること自体が日本には存在せず、初めてこの文化が日本に入ってきたのは幕末の1854年だと言われている。イギリスと日本間で結ばれた「日英和親条約」の締結を記念する晩餐会の場で、スコットランドから派遣されたエルギン伯爵が日本の井上清直にイギリスの文化として教えたのが始まりだそう。昔のヨーロッパでは宴会時に毒を盛られることが横行していたため、その予防としてグラスを強くぶつけ、グラスの中の酒がお互いに入るようにしていたという説や、キリスト教文化圏ではグラスを合わせたときに鳴る音で“悪魔払い”していたという説もある。 しかし、もともとの日本の歴史では、乾杯時には杯はぶつけず、自分の目線の高さに掲げるという風習だった。逆にグラスをぶつけることはマナー違反とされる場面も多く、現代でもワイングラスのような割れやすいグラスの場合はNGで、結婚式のようなフォーマルの場でもグラスをぶつけて割ってしまうと“関係にひびが入る”に通じるためマナー違反とされている。“目上の人よりグラスを下げる”というマナーより、むしろこちらのほうを覚えていたほうがいいかもしれない。 「目指せ!日本一の社畜!?ぬこリーマン」は、まくべすさんのブログやSNSで随時更新中。ぬこリーマンたちがどのような“社畜な日々”を過ごしているのか…。気になった方はぜひチェックしてほしい! 取材協力:まくべす(@maxvess3)